近年、TOMAでも国際相続の案件が増えています。なかでもアメリカに相続人や財産があるケースは多く、日本の税金業務においてもアメリカの存在は大きくなっています。在米日本人の相談ニーズも増えているため、支店のあるロサンゼルスでセミナーを開催しました。
また、国際業務では現地の専門家と連携して業務を行う必要があるため、弁護士、不動産、保険、FPの専門家と情報交換をしてきました。
さらに、節税効果も視野に入れた在米不動産の購入が日本の税務当局から注目されている現状をふまえ、アメリカにおける不動産投資の現状も視察してきました。
目次
ロサンゼルス トーランス
セミナーの開催地ロサンゼルスのトーランスはカリフォルニア州ロサンゼルス群の都市で日本企業が多く日系人が集中しているエリアです。ホンダとトヨタのアメリカ本社がある都市としても知られています。(トヨタはテキサス州ダラスへ移転)
日本食の店や日系のスーパーも多く、日本人にとっては住みやすい街のようです。
国際相続対策セミナー
12月17、18日の2日間、副理事長の陣内と資産税チームのリーダー大谷税理士、野田税理士の3名が「国際相続対策セミナー」と「相続個別相談会」を開催しました。セミナー参加者は約40名、個別相談会も15組の相談があり好評でした。
セミナー直前に平成29年度の税制改正大綱が発表されましたが、改正内容には海外居住者等の相続税納税義務に関する改正が盛り込まれていたため、まさにタイムリーな情報提供ができました。
納税義務の詳細は法令・通達の公表を待たなければならない部分もありますが、基本的な納税義務については正しい理解に不安を持っている方も多いようで、熱心に聞いていただきました。
近年、富裕層の相続税回避を防止するための改正が重ねられていますが、平成25年度に続き、平成29年度も相続税の課税範囲が広がりますので、一般的な財産額の方も注意していただきたいところです。
企業も注目すべき?! 在日外国人の相続税
なお、課税範囲拡大の改正と共に、企業内転勤等により日本で働く外国人が日本で亡くなられた場合に、日本の相続税が課税されてしまう弊害に対処する改正も予定されています。
外国人にとっては日本の相続税が大きなリスクにもなるため、日本に外国人を招へいする企業等も相続税の改正は注目しておく必要があるでしょう。
国際相続の対策とは?
国際相続の場合であっても基本的な相続税の対策は国内相続の場合と変わらず、相続税の試算と財産分割の検討から始め、小規模宅地などの特例検討、財産組み替え、計画的な生前贈与の検討などを行います。
これに非居住者の取り扱いや居住地、財産所在地における現地制度を加味していきます。現地制度については信頼できる現地の専門家と密に連携し、総合的に対応できる体制を整えます。
加熱する?アメリカ不動産投資、現行制度では節税効果が高い状況
近年、節税を狙うアメリカ不動産投資が増えてきました。現地の不動産ブローカーの話も聞いてきましたが、節税効果が高い優良物件はかなりの件数が日本人に買われ、現在は品薄の状況にあるということでした。この節税目的の投資については昨年、会計検査院が指摘をしており、いずれ歯止めをかける改正が行われると考えられます。
カリフォルニア州でも高級不動産は中国人による爆買いがあったそうですが、今は下火になってきたとのことでした。トランプ政権になり今後の情勢が気になるところです。節税効果だけにとらわれることなく、冷静な投資判断が求められます。
日本語対応OKの現地専門家のご紹介
上村一昭法律事務所:上村 一昭弁護士
老後の財産管理、遺産相続に関するエステートプランを専門としています。
米国財産を所有する場合には遺産相続の手続きの関係などからリビングトラスト(生前信託契約)などをセットしたエステートプランをお勧めすることが多くなります。米国財産がある場合の相談先です。
成松ローラ法律事務所 ローラ・ナリマツ・ワッサーマン弁護士
遺産相続手続きなどを専門とする女性弁護士で、上村弁護士と同様に米国財産がある場合の相談先です。
瀧法律事務所:瀧 恵之弁護士
グリーンカード、ビザ、会社設立を専門としています。トランプ大統領になり今後の動向が更に気になる移民法関連、アメリカ進出の相談に対応しています。
スターツ・パシフィック LA :吉岡 健児様
「ピタットハウス」で知られるスターツ・コーポレーションの現地法人です。オフィス、住宅の賃貸、購入・売却から管理までトータルで提供しています。
ダイワ保険:Tad 安岡様
在米法人の損害保険のほか、日本人向けのアメリカ生命保険を取り扱っています。