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小規模宅地等の特例 対象者範囲見直し ~平成30年度税制改正大綱~

記事作成日2018/01/10 最終更新日2018/09/18

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昨年12月14日、政府より平成30年度税制改正大綱が発表されました。今回はそのうち、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の対象者範囲の見直しについて、一部をご紹介いたします。

現行制度


次のいずれかに該当する人が、相続等により被相続人の居住用宅地を取得した場合、相続税の課税価格の計算上、その宅地(「特定居住用宅地」といいます。)の330㎡までの部分について、評価額の80%相当額を減額できます。

  1. その被相続人の配偶者
  2. 被相続人の居住用宅地を、同居していた親族が取得した場合 ・・・相続開始時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつその宅地を所有している人
  3. 被相続人の居住用宅地を、同居していない親族が取得した場合 ・・・相続開始前3年以内に自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがなく、かつその宅地を申告期限まで引き続き所有している人(相続開始の直前において配偶者や上記2に該当する同居親族がいない場合に限ります。また、相続開始時に日本国内に住所がなく、かつ日本国籍を有しない者は除かれます。いわゆる「家なき子」
  4. 被相続人と生計を一にする親族の居住用宅地をその親族が取得した場合 ・・・相続開始の直前から申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつその宅地等を所有している人

問題点と改正による見直し

例えば、持ち家のある相続人が親族などに持ち家を売却し、その家に賃貸で住み続け、3年超経過後に相続が発生した場合には、3の「家なき子要件」に当てはまることになります。

このように、特例の適用を受けるために、意図的に「家なき子」の状態を作り出せてしまうことは、本来の制度の趣旨に沿わないと考えられたため、平成30年度税制改正大綱では、
「相続開始時に居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者」と、
「相続開始前3年以内に、3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者」
を特例の対象者から除外するとの見直しが盛り込まれました。