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新型コロナウイルス感染症に関する助成金等のまとめ(7/14更新)

記事作成日2020/04/07 最終更新日2020/07/20

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新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、助成金の特例が発表されています。
この記事では、労務に関して現在発表されている助成金等の情報をまとめました。皆様のご参考になれば幸いです。

なお、TOMA社会保険労務士法人では、助成金受給要件や休業手当など労務管理上の措置に関するコンサルティングや特別休暇制度、テレワークを加えた就業規則の作成・変更等を承っています。お気軽にご相談ください。
※助成金の申請代行は扱っていません。

ご相談のお申込みはコチラ

〈この記事の目次〉

・雇用調整助成金の特例
〈動画による申請方法の解説・必要書類テンプレートの無料ダウンロード〉

・小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援

・働き方改革推進支援助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)

・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

・新型コロナウイルス関連情報の動画解説

雇用調整助成金の特例について

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、雇用調整助成金の特例が厚生労働省から発表されています。さらなる特例的な措置が実施される緊急対応期間が延長され(令和2年4月1日~6月30日が、令和2年4月1日~9月30日に延長)、受給額の引き上げ等が行われました。その概要をご紹介します。

●雇用調整助成金の受給額の上限が引き上げられました。
 1人あたり日額8,330円⇒15,000円

●解雇等せず雇用の維持に努めた中小企業への助成率が10/10(100%)に拡充されました。

「解雇等をせず雇用維持に努める」とは・ 令和2年1月24日から賃金締切期間(判定基礎期間)の末日までに、解雇等を行っていないこと (解雇とみなされる有期雇用労働者の雇止め、派遣労働者の事業主都合による中途契約解除等を含みます。 また、新型コロナウイルス感染症を理由とする解雇も含まれます)

・ 賃金締切期間(判定基礎期間)の末日時点の従業員数が、令和2年1月24日から賃金締切期間 (判定基礎期間)の末日までの各月末時点の従業員数の平均の5分の4以上であること

〈対象期間〉
令和2年4月1日から9月30日までの期間を1日でも含む賃金締切期間 (判定基礎期間)が対象です。

●すでに受給した方・申請済みの方にも適用されます

〈支給申請はお済みでまだ支給決定されていない事業主の方〉
追加支給の手続きは「不要」。差額(追加支給分)も含めて支給されます。

〈すでに支給決定された事業主の方〉
追加支給の手続きは「不要」。すでに支給した額との差額(追加支給分)は後日支給されます。

〈支給申請がお済みの事業主の方で、過去の休業手当を見直し(増額し) 従業員に対し、追加で休業手当の増額分を支給した事業主の方〉
追加支給の手続きが「必要」です。必要な書類等は下記を参考ください。
【リーフレット】
https://www.mhlw.go.jp/content/000639789.pdf

そもそも雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。
労働者を解雇せずに会社都合で休業させる場合、下記のとおり事業主は休業手当を支払う義務があります。

〈平常時の雇用調整助成金〉

月給制の場合

休業手当(1日あたり)=直近3ヶ月の総支給額(税込額)÷直近3ヶ月の総暦日数×60%助成金額はこの休業手当等に対し、中小企業は2/3、大企業は1/2を支給します。(上限有り)

この休業手当や賃金の一部を助成金として支給するのですが、申請すればもらえるわけではなく事前に休業計画をハローワークに届け出し、受理してもらってから休業をさせなければなりません。
また、直近3カ月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が前年同期に比較して10%以上減少していることなどが主な要件です。(※それ以外にも細かな要件があります)

新型コロナウイルス感染症の影響により、雇用調整助成金の一部要件に特例が適用されることになりました。
※令和2年4月1日~9月30日は緊急対応期間に該当します。


【緊急対応期間(令和2年4月1日~9月30日)の特例措置】

(1)特例の対象となる事業主
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)

① 新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が 6か月未満の労働者についても助成対象とします。
② 過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主について、
ア 前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象とし、
イ 過去の受給日数にかかわらず、今回の特例の対象となった休業等の支給限度 日数までの受給を可能とします(支給限度日数から過去の受給日数を差し引きません)。

(2)生産指標要件の緩和(1か月5%以上低下)
生産指標を▲5%以上低下に緩和

(3)計画届の事後提出
休業等計画届の事後提出が令和2年6月30日まで延長。5月19日~は提出不要。

(4)対象者の拡大
助成金対象従業員を雇用保険被保険者に限っていたものを撤廃し、未加入者も助成対象

(5)支給限度日数の加算
助成金支給限度日数である1年100日、3年150日に緊急対応期間(4月1日から9月30日)を加算

(6)助成率の引き上げ
 支給した1日の休業手当の4/5相当額(中小企業)または2/3相当額(大企業)へ拡充
※解雇等を行わない場合は10/10(中小)、3/4(大企業)へさらに拡充
※ 支給額は15,000円を日額上限とする。大企業、中小企業ともに同様。

(7)短時間一斉休業の要件緩和、残業相殺の停止、支給迅速化のため事務処理体制の強化、手続きの簡素化も行うこととする。

(8)教育訓練が必要な被保険者について、教育訓練の内容に応じて、加算額を引上げる措置を別途講じる。


【助成金の注意点・申請方法を動画で解説】

「雇用調整助成金の上手なもらい方」10分間セミナー(4月6日公開)

会社がこの特例措置を上手に使って休業を行うポイントについて解説します。

【必要書類テンプレートの無料ダウンロード】
雇用調整助成金の申請時および実際に休業を開始した後に必要となる書類をまとめました。以下よりテンプレートをダウンロードし、作成してください。

○申請時に必要な書類
 「労使協定書」(休業協定)

○休業開始後に必要な書類(作成ツールのご案内)
 「雇用調整助成金 休業等実施計画(変更)届」
「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書 」
「雇用調整助成金(休業等)支給申請書」

「雇用調整助成金特例対策の緊急対応期間」に関する解説と収支シミュレーションの解説~10分で出来るシミュレーションシート付~」(4月13日公開)

雇用調整助成金の緊急対応期間までの特例措置、実際に会社がこの助成金を活用して休業を行うための手順について解説します。


【シミュレーションシートの無料ダウンロード】
〇動画でご紹介した 「雇用調整助成金シミュレーションシート」 は以下よりダウンロード可能です。
>>ダウンロードはこちらから

小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援

新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等により影響を受ける労働者を支援するため、労働者を有給で休ませる企業に対し助成する仕組みが設けられました。

●4月1日以降取得した休暇分については日額上限額が15,000円に引き上げられました。
(2月27日から3月31日までの休暇分については日額上限額は8,330円)

●既に申請や支給済の場合、追加給付が順次行われますので、再度の申請は必要ありません。

●事業主
①又は②の子の世話を行うことが必要となった労働者に対し、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給(賃金全額支給(※))の休暇を取得させた事業主。 ※ 年次有給休暇の場合と同様

① 新型コロナウイルス感染拡大防止策として、臨時休業した小学校等(※)に通う子
※小学校等:小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
② 風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子

●支給額:休暇中に支払った賃金相当額 × 10/10
※ 支給額は15,000円を日額上限とする。 2月27日から3月31日までの休暇分については8,330円。

●適用日:令和2年2月27日~3月31日の間に取得した休暇
令和2年4月1日~9月30日の間に取得した休暇
※雇用保険被保険者に対しては、労働保険特会から支給、それ以外は一般会計から支給

①「臨時休業等をした」とは
新型コロナウイルス感染症に関する対応として、小学校等が臨時休業した場合、自治体や放課 後児童クラブ、保育所等から可能な範囲で利用を控えるよう依頼があった場合が対象となります。 なお、保護者の自主的な判断で休ませた場合は対象外です(※ただし、学校長が新型コ ロナウイルスに関連して特別に欠席を認める場合は対象となります。)

②対象となる保護者
・親権者、未成年後見人、その他の者(里親、祖父母等)であって、子どもを現に監護する者が対象となります。
・上記のほか、各事業主が有給休暇の対象とする場合は、子どもの世話を一時的に補助する親族も含みます。

③対象となる有給の休暇の範囲
○春休み、土日・祝日に取得した休暇の扱い
「(1)の臨時休業等をした小学校等に通う子ども」に係る休暇の対象は以下のとおりです。
・学校:学校の元々の休日以外の日 (※春休みや日曜日など元々休みの日は対象外)
・その他の施設(放課後児童クラブ等):本来施設が利用可能な日
「(2)新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれ のある、小学校等に通う子ども」に係る休暇の対象は以下のとおりです。
・ 学校の春休みなどにかかわらず、令和2年2月27日から同年6月30日までの間は対象

○半日単位の休暇、時間単位の休暇の扱い
・ 対象となります。なお、勤務時間短縮は所定労働時間自体の短縮措置であり、休暇とは異なるため対象外となります。

○就業規則等における規定の有無
・休暇制度について就業規則や社内規定の整備を行うことが望ましいですが、就業規則等が整備されていない場合でも要件に該当する休暇を付与した場合は対象となります。

○支給申請方法
支給申請方法が具体的に発表され、3月18日より申請受付が開始されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000640698.pdf
※TOMAでは助成金の申請代行は扱っていません。


【対象となる有給の休暇の範囲に関する留意点】

●年次有給休暇や欠勤、勤務時間短縮を、事後的に特別休暇に振り替えた場合の扱い
・対象になります。
(ただし、事後的に特別休暇に振り替えることについて労働者本人に説明し、同意を得ていただくことが必要です。)

●労働者に対して支払う賃金の額
・年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金の額を支払うことが必要です。
(助成金の支給上限である8,330円を超える場合であっても、全額を支払う必要があります。)

●申請期間
令和2年12月28日まで

厚生労働省・都道府県労働局
*①雇用保険被保険者の方用と、②雇用保険被保険者以外の方用の2種類の様式があります。
*事業所単位ではなく法人ごとの申請となります。
また、法人内の対象労働者について1度にまとめて申請しましょう。

●申請先
申請事業主の本社等(人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所)の所在地を担当する以下の提出先に郵送(配達記録が残るもの)してください。※窓口はありません。

学校等休業助成金・支援金受付センター
詳しくは下記を参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000641689.pdf

 ●問い合わせ先
学校等休業助成金・支援金等相談コールセンター
0120-60-3999
受付時間:9:00~21:00(土日・祝日含む)

 

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)

テレワークコース

新型コロナウイルス対策のための特例的なコースは終了しましたが、上限額等の見直しが行われています(令和2年5月1日)。

【見直しのポイント】
●支給額について、1人当たりの上限額と1企業当たりの上限額を倍増

●受け入れている派遣労働者がテレワークを行う場合も対象


●成果目標が見直され、月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させる目標は廃止


①助成対象の取組
・テレワーク用通信機器の導入・運用
・就業規則・労使協定等の作成・ 変更
・社会保険労務士等による導入のためのコンサルティング 等

②支給額
対象経費の合計額 × 補助率
※補助率は成果目標の達成・未達成により異なります。

達成となるには、以下の「成果目標」をすべて達成する必要があります。
(1)評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させる

(2)評価期間において、対象労働者が在宅またはサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した回数の週間平均を、1回以上とする

詳細はリーフレットにて確認ください。

【リーフレット】
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000636399.pdf

【問い合わせ先】
テレワーク相談センター
https://www.tw-sodan.jp/
電話:0120-91-6479

職場意識改善特例コース

●交付申請期限等が延長されました。交付申請期限は2020年7月29日までです。

①対象事業主
新型コロナウイルス感染症対策として労働者が利用できる特別休暇の規定を整備する中小企業事業主

②助成対象の取組
・就業規則等の作成・変更
・労務管理用機器等の導入・更新 等
・社会保険労務士等による導入のためのコンサルティング 等

③主な要件
事業実施期間中に新型コロナウイルスの対応として労働者が利用できる特別休暇の規定を整備すること

④助成の対象となる事業の実施期間
令和2年2月17日~7月31日
計画の事後提出を可能にし、2月17日以降の取組で交付決定より前のものも助成対象とします。

⑤支給額
補助率:3/4
※事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は、4/5を助成
【リーフレット】
https://www.mhlw.go.jp/content/000634455.pdf

【資料・問い合わせ先】
○各都道府県労働局にお問い合わせください。
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/index.html

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止の措置の影響により休業させられた中小企業の労働者のうち、休業中に賃金 (休業手当)を受けることができなかった方に対して、当該労働者の申請により、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・ 給付金が支給されます。

①対象者
令和2年4月1日から9月30日までの間に事業主の指示を受けて休業(休業手当の支払なし)した中小企業の労働者

②支援金額の算定方法
休業前の1日当たり平均賃金 × 80% ×(各月の日数(30日又は31日) ー 就労した又は労働者の事情で休んだ日数)
※1日当たり支給額(11,000円が上限)

③手続内容
(1) 申請方法: 7/10~ 郵送 (オンライン申請も準備中)
※労働者本人からの申請のほか、事業主を通じて(まとめて)申請することも可能

(郵送受付先)
〒600-8799
日本郵便株式会社 京都中央郵便局留置
厚生労働省新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当 行

(2) 必要書類:申請書、支給要件確認書※、本人確認書類、口座確認書類、休業開始前賃金及び休業期間中の給与を証明できるもの

※ 事業主の指示による休業であること等の事実を確認するもの。事業主及び労働者それぞれが記入の上、署名。
※ 事業主の協力を得られない場合は、事業主記入欄が空欄でも受付(この場合、法律に基づき労働局から事業主に報告を求める)。

詳細はホームページにて確認ください。https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html

新型コロナウイルス関連情報の動画解説

新型コロナウイルス感染症に関する対応についてYouTube「TOMA人事労務情報チャンネル」で解説中

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