改正労働者派遣法が平成27年9月30日に施行されました。今回は、特に影響の大きい「届出制から許可制への移行」と「専門26業務の廃止に伴う派遣期間規制への見直し」を中心に解説します。
◆改正労働者派遣法の改正ポイント
① 届出制を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制にする。
② 派遣労働者に対して計画的な教育訓練や、希望者へのキャリアコンサルティングを派遣元に義務付ける。
③ 派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置を派遣元に義務付ける。
④ 専門26業務の廃止と、派遣先の同一の事業所における同一の派遣労働者の受入れは3年を上限とする。
◆全ての労働者派遣事業を許可制にする
現在、派遣事業を営む全事業所のうち約76%の会社が届出制ですが、法改正後は許可制へ移行するための準備を行う必要があります。許可制には、「資産-負債(基準資産額)」の額が2000万以上、現預金の額が1500万以上、事業所面積は1事業所につき20平米以上等といった厳しい許可要件があります。
しかしながら、小規模派遣元事業主については当分、常時雇用している派遣労働者が10人以下の場合、基準資産額は1000万、現預金額は800万以上となるといった資産・現金要件の緩和があります。また、現在、特定労働者派遣事業を行っている会社に対しては、施行日から3年の経過措置期間があります。経過措置期間中に財務体質を強化するといった許可基準への対応や、許可基準を満たせない場合は、事業構造の転換を行い、派遣契約から請負・業務委託契約に変更する等、対応が必要です。
◆専門26業務の見直しと同一事業所における受入れ期間
専門26業務と自由化業務の違いが不明確であったことから、専門26業務が廃止されました。廃止を受けて、派遣業務は「有期雇用」か「無期雇用」で区分され、有期雇用の場合は、同一事業所(同一組織単位)に同一派遣労働者を3年間受け入れることができ、無期雇用の場合は、期間制限なく派遣労働者を受け入れることができます。ただし、3年ごとに労働組合等から意見聴取を行わなければならず、意見聴取を行わないまま派遣を継続した場合は、違法な派遣を行っているとして規制の対象となります。
今回の法改正で派遣会社を取り巻く環境が大きく変わります。3年の経過措置がある間に方針を早めに決定し、運用方法を構築していかなければならないので注意が必要です。