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労働時間の適正な管理・把握について(厚生労働省ガイドラインより)

記事作成日2017/04/11 最終更新日2020/05/20

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大手広告会社の電通の従業員の過労自殺問題等を受けて、長時間労働に関する社会的関心がこれまで以上に高まっています。
労働基準法により、使用者は労働時間を適切に管理する責務を有していますが、労働時間の把握に係る自己申告制(労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握するもの)の不適正な運用に伴い、割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題が生じているなど、使用者が労働時間を適切に管理していない状況も見られます。
こうした現状を踏まえ、厚生労働省は、労働時間の適切な管理の促進を図るため、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に示した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を公表しました。

◆労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日 厚生労働省)」

【労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置】
使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること
(1)原則的な方法
・ 使用者が、自ら現認することにより確認すること
・ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

(2)やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合
① 自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行うこと
② 自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合は実態調査を行い、労働時間を補正すること
③ 使用者は、労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。さらに36協定の限度時間を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、慣習的に行われていないか確認すること

◆実務上の対応

今回ガイドラインで示されたように、労働時間の管理・把握方法は、タイムカード等の客観的な記録を原則とすることが求められています。例えば、始業・終業時刻を毎日同じ時刻で記載したり、タイムカードと残業申請時間に乖離がある場合、労働時間を適正に把握しているのか疑われる恐れがあることから、ガイドラインを基に労務管理・記録方法等に問題が無いか確認する必要があります。
なおTOMAでは、勤怠管理システムの導入支援や、労務管理に関するコンサルティングを行っておりますのでご相談ください。