2025年12月19日に自由民主党・日本維新の会から発表された「令和8年度税制改正大綱」では、医療分野に関する多くの税制改正が盛り込まれています。本記事では、医療機関や医療関係者に関連する改正内容をピックアップしてご紹介します。
本記事は、「令和8年度税制改正大綱(自由民主党)」に基づき、情報提供を目的として概要をまとめたものです。
目次
- (賃上げ促進税制)大綱P11,94
- (少額減価償却資産の特例)大綱P86,100
- (固定資産税の免税点引き上げ)大綱P148
- (自動車等通勤者、食事支給の非課税拡充)大綱P58~60
- (青色申告特別控除の見直し)大綱P24,55~56
- (認定医療法人制度の延長)大綱P66
- (事業税)大綱P150
- (消費税インボイス制度の見直し)大綱P21,22,123~124
- (基礎控除の拡充)大綱P4~6,32~33
- (給与所得控除の拡充)大綱P4~6,32~34
- (ふるさと納税の上限設定)大綱P23,62
- (教育資金一括贈与の廃止)大綱P12,65
- (NISAの拡充)大綱P12,13,48~52
- (医療法人が特定外国人患者から受け取る診療報酬に関する要件緩和)大綱P60,66,105~106,117
- (収益事業から除外される医療保健業の見直し)大綱P114
- (公益法人等の収益事業に係る課税)大綱P86,115
- (事業所税の非課税措置)大綱P84
- (登録免許税の軽減)大綱P67
- (不動産取得税の特例措置等)大綱P70,79,83,84
(賃上げ促進税制)大綱P11,94
・大企業向け措置は適用期限を待たずに、令和8年3月31日をもって廃止
・中堅企業向け措置は、要件を見直したうえで令和9年3月31日の期限到来をもって廃止
・教育訓練費を増加させた場合の上乗せ措置は廃止
・中小企業向け措置は、教育訓練費の上乗せ措置廃止以外は現行制度を維持
(少額減価償却資産の特例)大綱P86,100
・損金算入の特例対象となる資産の取得価額を引き上げ 30万円未満 → 40万円未満
・適用期限を3年延長
・対象となる法人から常時使用する従業員の数が400人を超える法人を除外
(固定資産税の免税点引き上げ)大綱P148
令和9年度以後の固定資産税の免税点の引き上げ
・家屋 20万円 → 30万円
・償却資産 150万円 → 180万円
(自動車等通勤者、食事支給の非課税拡充)大綱P58~60
<自動車等通勤者の非課税措置の拡充>
①通勤距離片道65km以上の者の1月当たりの非課税限度額を引き上げ
38,700円 → 距離に応じて45,700円~66,400円
②一定の要件を満たす駐車場等利用者に、非課税限度額として5,000円を上限に加算
<食事支給の非課税拡充>
①負担額の上限引き上げ 月3,500円 → 月7,500円
②夜食の支給ができない深夜勤務者に支給する1回当たりの金銭
300円以下 → 650円以下
(青色申告特別控除の見直し)大綱P24,55~56
①55万円 → 65万円(e-Taxを使用して、確定申告書、貸借対照表及び損益計算書を提出期限までに提出する要件を追加)
②65万円 → 75万円(①のe-Tax使用に加え、仕訳帳及び総勘定元帳の保存を電磁的記録保存等で行っていること)
③10万円控除の対象者から次の者を除外
・前々年の不動産所得の収入金額1,000万円超
・前々年の事業所得の収入金額1,000万円超
(認定医療法人制度の延長)大綱P66
医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度である認定医療法人制度の適用期限を3年延長
(事業税)大綱P150
事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する。
(消費税インボイス制度の見直し)大綱P21,22,123~124
①個人事業者のインボイス制度の2割特例の見直し
2割特例 → 3割特例(経過措置として、令和9・10年に含まれる各課税期間)
②インボイス制度の8割控除の見直し
・適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置
令和8年10月1日から令和10年9月30日まで 70%
令和10年10月1日から令和12年9月30日まで 50%
令和12年10月1日から令和13年9月30日まで 30%
(基礎控除の拡充)大綱P4~6,32~33
①合計所得金額2,350万円以下の者の基礎控除を4万円引き上げ
58万円 → 62万円
②基礎控除の特例として次の金額を加算(令和8・9年分)
・合計所得金額489万円以下の場合 42万円加算
・合計所得金額489万円超655万円以下の場合 5万円加算
(給与所得控除の拡充)大綱P4~6,32~34
・最低保障額 65万円 → 69万円
・令和8・9年に関しては給与所得控除の特例として最低保証額を更に5万円加算
※課税最低限178万円の内訳
基礎控除 62万円
基礎控除特例 42万円
給与所得控除 69万円
給与所得控除の特例 5万円
合計 178万円
(ふるさと納税の上限設定)大綱P23,62
・給与収入1億円相当の者を対象に、定額上限を設定(目安寄附額 438万円)
(教育資金一括贈与の廃止)大綱P12,65
・令和8年3月末の適用期限は延長しない
・同日までに拠出された金銭等については、引き続き適用可能
(NISAの拡充)大綱P12,13,48~52
・つみたて投資枠の対象年齢を0歳まで拡充
・0~17歳の間は、年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円
・12歳以降、子の同意を得た場合のみ、親権者等による払出しを可能
・18歳に達したら18歳以上向けの制度に移行
・債券が運用資産の50%を超える投資信託を対象に加える。
(医療法人が特定外国人患者から受け取る診療報酬に関する要件緩和)大綱P60,66,105~106,117
「自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されること」の要件について、特定外国人患者に対する診療報酬については、社会保険診療報酬と同一の基準額の3倍以内、かつ地域における標準的な料金を超えないものとする。
・社会医療法人制度 大綱P60、117
・認定医療法人制度 大綱P66
・特定医療法人の法人税率特例 大綱P105~106
(収益事業から除外される医療保健業の見直し)大綱P114
医師会法人等が開設する医療機関の医療保険業の要件である「その医師会法人等の受ける診療報酬又は利用料の額が、健康保険法の規定等により算定される額以下であること」について、関係法令の改正を前提に、特定外国人患者に対する診療報酬については、その診療報酬の額が、その算定される額の3倍以内かつ地域における標準的な料金を超えないものとして厚生労働大臣の証明を受けていることとする。
(公益法人等の収益事業に係る課税)大綱P86,115
関係法令の改正を前提に、収益事業から除外される公的医療機関に該当する病院等を設置する農業協同組合連合会が行う医療保健業の要件のうち特別の療養環境に係る病床の病室差額料に係る要件における特別の療養環境に係る病床の病室差額料の平均額を1万円以下(現行:5,000円以下)に引き上げる。
(事業所税の非課税措置)大綱P84
関係法令の改正を前提に、下記を引き続き非課税とする
・一定の農業協同組合連合会が行う収益事業以外の事業に係る事業所税
・社会医療法人が行う収益事業以外の事業に係る事業所税
(登録免許税の軽減)大綱P67
医療機関の開設者が再編計画に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率軽減措置の適用期限を2年延長
(不動産取得税の特例措置等)大綱P70,79,83,84
<新設> 大綱P70
重点的に医師の確保を図る必要がある区域のうち一定の区域内で承継又は開設する一定の要件を満たす診療所の用に供する一定の不動産に係る不動産取得税について、当該不動産の価格の1/2に相当する額を控除する特例措置を令和10年3月31日まで講ずる。
<延長> 大綱P79
医療機関の開設者が、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に規定する認定再編計画に基づく医療機関の再編に伴い取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(固定資産税・都市計画税・不動産取得税)大綱P83、84
関係法令の改正を前提に、改正後の社会医療法人等について、現行制度と同様の非課税措置を講ずる。
※今後、国会に法案が提出・審議される予定であり、その結果、本資料の内容と異なる制度が成立する可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

