インターネットが普及したことで、あらゆる情報が手軽に調べられる時代になりました。これにより患者さんは医療機関の情報収集を行う手段が増え、訪れる医療機関を選択しやすくなりました。また医療機関にとっても近隣住民以外の方に対して、自院の詳細な情報を届けられるようになりました。では患者さんは医療機関を選ぶ際、何を基準に判断しているのでしょうか。
※以下のブログで登場する“口コミ”とは、人同士が対面で直接伝えあう事を意味しており、口コミサイト等に書き込まれる“口コミ”は含んでおりません。
受療行動調査の結果(令和2年と平成29年の比較)
2022年7月に厚生労働省より、全国の医療施設を利用する患者さんに受療の状況や医療に対する満足度等を調査し、患者さんの医療に対する認識や行動を明らかにする「令和2年受療行動調査」が公表されました。ここでは前回調査の平成29年と比較し、情報の入手先について見ていきましょう。
(出典:厚生労働省 平成29年度受療行動調査)(出典:厚生労働省 令和2年受療行動調査)
令和2年調査では、前回調査に比べて情報を入手している方の割合が全ての年代で上昇しています。特に0~14歳における上昇幅は4.3%と最も大きく、次いで15~39歳の上昇幅は2.9%となっています。0~14歳で高い上昇率が表れている要因として、この年代は親と同伴で来院する場合が多く、親世代の関心が反映されていると見られます。
また外来患者の8割が事前に情報を入手して来院していることを考えると、医療機関に関する情報がいかに重要であるかが分かります。では次に、情報を入手している方の入手先について見ていきます。入手先の上位3つは平成29年・令和2年共通して以下の通りです。
①家族・知人・友人の口コミ
②医療機関が発信するインターネットの情報
③医療機関・行政機関以外が発信するインターネットの情報(SNS・電子掲示板・ブログの情報を含む)
下記の表は、平成29年・令和2年の受療行動調査の結果から上記①~③であげた項目の増減についてピックアップしたものとなります。この表から、全世代において令和2年は、平成29年と比べてブログやSNSを含むインターネットを利用して情報を集めている患者さんが増加していることがわかります。また0~64歳については、口コミを利用している患者さんが減少しています。
※増減単位はそれぞれ%(出典:厚生労働省 平成29年及び令和2年受療行動調査)
このことからインターネットを利用した情報収集は今後も加速すると見られ、新規の患者さん獲得に向けてインターネットをどれだけ活用できるかがカギとなります。
今後のインターネット対策
およそ70%の方が情報収集の手段として家族や知人からの口コミを選択しています。しかしインターネットやSNSなどから情報を集める方も増加傾向にあり、その動きを決して見逃すことはできません。口コミとSNSやブログの大きな違いはその発信力です。口コミはその場で聞いていた人の内で広まり、そして徐々に拡大していきます。
一方インターネットでは、書き込まれると不特定多数の人へ瞬時に広まります。もし良い評判であれば、医療法で広告規制がかかっている医療機関にとって大きなメリットとなります。またインターネットを活用する際、
・SEO対策
・悪質な書き込みへの対策
の2点を行う事も大切です。
SEO対策
Googleなどの検索エンジン上で自院のHPを検索結果の上位に表示させ、多くの患者さんに閲覧してもらうための対策です。その有効な方法はいろいろありますが、そのうちの一つとして、キーワードと関連ワードをうまく組み合わせることが挙げられます。
「発熱外来 東京」のように、患者さんが検索しそうなキーワードに多くの関連ワードを組み合わせることができると、検索をしたときに引っかかる可能性が高くなります。また自院のHPが上位表示されるようにするには、「タイトル」と「説明」の2点をいかに見やすくできるかも大切です。
「タイトル」・「説明」は、検索サイト上で下記のように表示されます。検索サイト側で重要視する情報であるだけでなく、検索する側にとってもクリックするかどうかを判断する重要な情報になります。HP運営管理をお願いしている制作会社さんなどとよく相談するようにしてください。
具体的には、タイトルを「○○駅前内科 東京都△△区 ○○駅徒歩1分」のように、自院名と所在地が一目で判断できるようにすると良いでしょう。また説明は「○○駅前内科は、××の診療を行っており…」のように、一目でどんな医療機関なのか判断できるようにすると良いでしょう。
このように読み手がHPを見た時、一目で内容の分かるものが検索結果の上位に表示されやすくなっています。HPの作成や更新をされる際はスタッフの方にも見ていただき、客観的な観点から判断していくことが重要です。
悪質な書き込み対策
インターネット上では気軽に書き込みができるが故、悪質な書き込みを行う方もいます。これらはそのままにしてしまうと、たとえ虚偽の情報であっても自院の悪評に繋がってしまいます。そのため悪質な書き込みを発見した際は、サイトの運営元に対して速やかに削除申請をする必要があります。
総務省では、ブログなどご自身で管理されているWebサイトについての対策方法も紹介しています。その方法は以下の通りです。
①迷惑行為の禁止や不適切と思われる発言は削除する旨の明記
②迷惑行為を受けた際、「投稿日時・投稿者のコンピューター名・IPアドレス・投稿内容」を保存
③②の内容を相手が接続しているインターネットサービスプロバイダなどに連絡する
今回はインターネットでの集患活動についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか?
ここで紹介したものはあくまで一例ですので、今後も引き続き情報発信を行って参ります。
TOMAではブログやメルマガなどで医療に関する情報発信を行っている他、経営などの無料相談も行っております。ブログの内容に限らずご不明点などございましたら、お気軽にTOMAへお問い合わせください。
図解の出典
・厚生労働省 平成29年受療行動調査(確定数)の概要
・厚生労働省 令和2年受療行動調査(確定数)の概要
・総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト
参考文献
クリニックの広報戦略の教科書 河村伸哉 著