なかなか終息の気配を見せない新型コロナウイルス感染症。
医療機関では、3回目のコロナワクチンの接種や、感染者数の増加により多忙を極める先生、逆に受診控えなどの行動抑制により経営的に影響を受けている先生など、日々、状況が目まぐるしく変わっていることと存じます。
今回はそのような医療機関の先生方に今後大きな影響を与える可能性がある、リフィル処方箋について紹介させていただきます。
処方箋を”反復利用”…リフィル処方箋とは?
リフィル処方箋は、症状が安定している患者さんについて、医師の処方により、医師及び薬剤師の適切な連携の下で一定期間内に処方箋を反復利用できる仕組みです。
ここでいう一定期間内とは、30日以内を意味します。医師は30日分の処方箋を発行し、“反復利用”は3回までとなります。発行される処方箋には、繰り返し利用できる回数(3回)が記載されます。
中医協が発表した「医薬品の適切な使用の推進について」によると、患者さんがリフィル処方箋の仕組みを利用したいと思う場合は「症状が長期に安定しているとき」「忙しくて診療に行く時間が確保できないとき」という回答が多かったようです。
中医協 令和3年12月8日 医薬品の適切な使用の推進について(図のみ参照)
出典元:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000863579.pdf
例えば「慢性疾患で症状が長期に安定しているとき」であればリフィル処方箋は有効と考えられ、発行する場合は患者さん一人一人の症状や都合を勘案する必要があると考えられます。
導入時期、対象となる医薬品
リフィル処方箋は、令和4年4月の診療報酬改定で導入されます。導入予定の医療機関では、既に準備を進めている先生もいらっしゃるかもしれません。また、今後導入をご検討の際は、今後新たな情報が発表される可能性がございますので、こまめに厚生労働省のホームページをご確認いただくことをおすすめいたします。
また、全ての医薬品が対象となるわけではありません。
中医協が令和4年1月に発表した「個別改定項目について」では、「保険医療機関及び保険医療養担当規則において、投薬量に限度が定められている医薬品及び湿布薬については、リフィル処方箋による投薬を行うことはできない。」と明記されています。よって患者さんに処方している医薬品が投薬量に限度が定められているものかどうかを確認の上で、発行する必要があります。また、湿布薬は対象となっていないため、主に整形外科などでリフィル処方箋の導入を検討している場合は注意が必要です。
減収? 病院・医院への影響
リフィル処方箋を導入すると、薬をもらうために診療を受ける患者さんからの再診料が無くなってしまう…と、減収を懸念する先生もいらっしゃるかと思います。
たしかに、患者さんの受診回数が減ることは医業収入が減ることを意味します。しかしながら、中医協によると、“当該処方箋の1回の使用による投与期間が29日以内の投薬を行った場合は、処方箋料における長期投薬に係る減算規定(所定点数の100分の40相当への減額)を適用しない”としており、1回あたりの点数は高く算定されることとなります。また、外来患者さんが減った分、先生方や職員さんの時間ができますので、それまでできなかった業務改善や増患対策に充てるなど、プラスに考えていくことも重要かと思います。
今回は、リフィル処方箋の導入に向けて、令和4年2月14日時点の情報をまとめました。今後新たな情報が発表される可能性がございますので、TOMAでも可能な限り更新をしていく予定です。リフィル処方箋について、またその導入による対応策など、より詳しい情報をお求めの際は、是非TOMAにご相談ください。