BLOG

専門家によるブログ

病院・医院経営ブログ

歯科医院に求められるキャッシュレス決済の導入

記事作成日2021/06/28 最終更新日2021/06/30

X
facebook
copy

現金決済の方がコストが高くなる? キャッシュレス決済の必要性

歯科医院では自費診療で高額な支払いが発生することもあり、クレジットカード決済を導入している医院も多いことと思います。しかし、保険診療に関しては金額が少額となるため、依然として現金決済のみという歯科医院が多いのが現状です。現金決済の場合、お釣りの渡し間違えで現金残高が一致しないこともしばしば発生します。この不一致について原因究明するとなると、その分の労力と人件費が発生し、一致しない金額に対してかかるコストのほうが、かえって高くなってしまうこともあります。

これに対し、キャッシュレス決済ではお釣りの渡し間違えのリスクを減らすことができ、会計のスピードも現金決済より速くなる傾向にあります。また、非接触型の決済を導入することにより、職員の感染リスクを抑えることにもつながります。コロナの影響で新しい生活様式が求められている昨今、歯科医院においても現金決済を減らす工夫が求められています。

今回は、歯科医院のキャッシュレス決済導入について考えてみたいと思います。

キャッシュレス決済の種類

キャッシュレス決済には、下記のようなものがあります。

・クレジットカード
・デビットカード
・交通系電子マネー(Suica、PASMOなど)
・流通系電子マネー(WAON、nanaco、楽天Edyなど)
・後払い型電子マネー(QUICPay、iDなど)
・QRコード決済(PayPay、楽天ペイ、LINE Pay 、d払いなど)

クレジットカードは、端末機を利用して決済手続きをすることになります。本人確認のためのサインや暗証番号の入力などが必要となり、会計に少し時間がかかる傾向にあります。デビットカードもクレジットカードと同じような決済方法となります。

交通系電子マネーや流通系電子マネーは、事前にチャージをしておくことにより、そのチャージ残高の範囲で利用できる決済方法となります。サインや暗証番号の入力などは不要であるため、会計時間を短縮できる傾向にあります。ただし、残高不足などが生じた場合には、差額の決済方法について窓口で患者様が慌ててしまうこともあり、逆に時間がかかってしまうこともあります。

後払い型電子マネーは、かざすだけで決済可能であり、残高不足となることもありません。QRコード決済もスマートフォンでQRコードを読み取ることにより、決済が可能です。また、QRコード決済は、受付にQRコードを掲示するだけで端末機を使用しなくて良いという利点もあります。ただし、いずれも決済できる金額の上限がクレジットカードと比べると低い金額設定になっています。

端末導入費用、手数料などコスト面の検討

導入にあたっては、コスト面も考えておく必要があります。発生するコストとしては、次のものがあります。

・端末導入費用
・インターネット通信費
・決済手数料

端末導入費用は、決済するために必要な端末の初期導入費用となります。数万円程度かかりますが、QRコード決済の場合には、端末不要で導入可能な場合もあります。

また、ネット通信を利用して情報処理をするため、モバイル回線やWifiなどのネット回線の契約が必要となります。毎月、このインターネット通信費がかかるのはもちろん、初期導入時に回線工事が必要な場合には、工事費用も発生する場合があります。

決済手数料は、利用度合いに応じて発生する費用で、約3%程度の手数料がかかるのが一般的であり、決済手数料が高いと感じ、導入を見送る歯科医院も多いです。しかし、考え方を変えると、保険収入の点数が100点、窓口負担金が300円とすると、手数料は窓口負担の3%の9円となり、保険収入合計額1,000円に対して、1%程度の負担で済むという考え方もできます。

患者様をお待たせしないように、職員への教育はしっかりと

飲食店などの会計の際に、従業員が手間取ってしまい、待たされてイライラしているお客様をみかけることがあります。歯科医院の場合、呼ばれてから会計となるので、このようなケースは少ないと考えられます。しかし、他の患者様を待たせてしまうことにもなるので、オペレーションの教育はきちんと行っておく必要があります。また、システムエラーで決済ができなかった場合の対処法なども事前に決めておくと、万が一の際に患者様をお待たせしないで済みます。

決済方法は複数の選択肢から選べるほうが患者様としては便利ですが、受付の職員は会計方法が煩雑となるため、ある程度利用できる決済方法を絞ることも必要です。導入にあたっては、患者様、歯科医院側それぞれの立場で考え、より自院にあった決済方法を導入するよう検討してみてください。