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確定申告前に見直したい!控除の変更点を改めて確認しよう~個人クリニックの院長先生向け~

記事作成日2025/12/12

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令和7年分の確定申告シーズンが近づく中、今回の記事では申告内容の変更点や新たに導入された控除制度、さらに必要な情報を効率的にチェックする方法をご紹介します。また、よくいただくご質問への回答や資料準備をスムーズに行うためのコツもまとめましたので、申告手続きの際にぜひお役立てください。

特定親族特別控除の新設

特定親族特別控除は、令和7年分の税制改正で新設された制度です。

この制度は、2025年12月31日時点で19歳以上23歳未満の特定親族が対象です。特にアルバイトなどで収入のある大学生や専門学生のお子さんがいる場合、該当する可能性がありますのでご確認ください。

従来の制度では、19歳以上23歳未満の子どもは「特定扶養親族」として、1人あたり63万円の所得控除が認められていました。ただし、扶養されている方には所得制限があり、年間の合計所得金額が48万円(給与収入103万円)を超えると控除を受けることができませんでした。

今回の改正により、扶養されている方の所得制限が緩和され、合計所得金額58万円以下(給与収入123万円以下)の方まで、1人あたり63万円の所得控除が認められるようになりました。

さらに、「特定扶養親族」に加えて、合計所得金額58万円超123万円以下(給与収入123万円超188万円以下)の場合は、「特定親族特別控除」の適用を受けられるようになりました。

これまでアルバイトなどの収入が多いお子さんを持つ方は控除を受けられませんでしたが、この控除により、親御さんが控除を受けられるようになりました。なお、控除額はお子さんの所得に応じて段階的に減少します。

出典:国税庁「No.1177 特定親族特別控除

医療費控除

医療費控除は、ご自身やご家族の1年間の医療費が一定額を超えた場合に、利用できる制度です。原則として、その年の医療費が10万円を超える場合、その超えた金額が所得から控除され、結果として所得税や住民税が減額されます。(総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%を超えた金額が控除されます。)

医療費控除を受けるには、ご自身やご家族が1年間に支払った医療費を確認する必要があります。これまでは、健康保険組合などから送られてくる「医療費通知」を使って確認されていた方が多いと思いますが、この通知には10月頃までの分しか載っていません。そのため、11月や12月の分は、領収書を見て自分で集計する必要がありました。

今は「マイナポータル連携」を使うことで、1月から12月までの1年分の保険診療の医療費情報をまとめて取得できるようになりました。また、「代理人登録」をすると、ご家族分の医療費情報も取得できます。医療費情報は、毎年2月9日以降に取得可能です。医療費の確認が手軽に行えるようになるため、ぜひご確認ください。

なお、医療費として計上できる費用には、注意点があります。よくいただくご質問について、いくつかご紹介します。

1.健康診断の費用、インフルエンザワクチン、コンタクトレンズ代、診断書などの文書料など、治療以外の費用は対象外です。
※健康診断の結果、病気が見つかり、その後治療を行った場合は、その健康診断の費用も医療費控除の対象となります。

2.入院時の差額ベッド代、テレビ代、衣服のクリーニング代など、治療以外の費用は対象外です。領収書の内訳をよく確認しましょう。

3.未払いの医療費は対象外です。翌年の医療費控除に含めることになります。特に、1月や12月の領収書の日付をよく確認しましょう。

4.歯列矯正で、容貌を美化するための費用は対象外です。
※子どもの成長を阻害しないためなど、年齢や目的から必要と認められる場合は、対象となります。

5.実際にご自身が負担した金額以外は対象外です。

保険金などで補填された金額や、給付金、出産一時金などで受け取った金額は除きましょう。

6.治療のための公共交通機関の交通費は対象となります。小さなお子さんの通院の場合など、付添人の交通費も通院費に含まれます。通院費は、通院した日や金額も記録しておきましょう。

※基本的にタクシー代や通院のためのガソリン代、駐車場代は控除の対象外です。ただし、電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合や、緊急時、医師の指示による場合は、タクシー代も認められる可能性があります。

医療費控除の対象となる医療費には所定の要件があります。対象外のものが含まれないよう、ご留意ください。

ふるさと納税

ふるさと納税は、自治体に寄附を行うことで、所得税や住民税の控除を受けられる制度です。寄附金額のうち2,000円を超える部分が控除対象となり、地域の特産品などの返礼品も受け取れる点が魅力です。

確定申告の際は、寄附先から送付される「寄附金の受領書」等の添付が必要です。しかし、「寄附金の受領書」は、寄附別の資料のため、複数の地方公共団体にふるさと納税をしているような場合は、資料の数が多くなります。まとめて入力する際には金額を合算する必要があるなど、申告の際に手間がかかります。

手間を減らしたい方は、「寄附金控除に関する証明書」を利用することをお勧めします。「寄附金控除に関する証明書」は、ふるさと納税を行う際に経由した仲介サイトなどから取得ができます。

また、「寄附金控除に関する証明書」であれば、郵送のほかに、XMLファイルでのダウンロードや、マイナポータル連携も可能です。マイナポータル連携については、ふるさと納税の寄附金証明書等のデータをマイナポータル経由で取得し、所得税の確定申告書を作成する際に、自動入力することも可能です。利便性が高いため、是非こちらの取得をされてみてはいかがでしょうか。

まとめ

ここまで、確定申告の今年の変更点や、必要な情報を簡単に取得できる方法をご紹介しました。日々お忙しい中、確定申告のためにお時間を確保するのは大変かと思いますが、事前に必要な資料を用意することで、スムーズに申告を行うことができます。本記事がご参考になれば幸いです。

TOMAでは、ご要望に応じて、適切な情報提供やご提案をしております。確定申告でご不安なことやご不明なことがあれば、お気軽にお問い合わせください。