税金の納付のため、金融機関に出向くのを面倒に思ったことはないでしょうか。
そうした声を受け、国税庁では、2024年5月から一部の方々を対象に窓口納付時に必要な「納付書」の送付を廃止しています。
国税庁では、納付書廃止のタイミングで「キャッシュレス納付」への切替えを推奨しています。キャッシュレス納付に切り替えれば金融機関に出向くことなく、税金の納付をすることができます。
今回のブログでは、キャッシュレスと従来の現金納付の各種国税の納付方法について、そのメリット・デメリットをご紹介します。
国税の各種納付方法
まず初めに、様々な国税の納付方法についてご紹介します。納付方法は、現金を使用せず納付をする「キャッシュレス納付」と従来の「現金納付」の2つに分けられます。それぞれ納付方法が複数あり、事前準備が必要な納付方法もあります。
〈キャッシュレス納付〉
・ダイレクト納付
納税者本人名義の預貯金口座から税金を口座引き落としする納税方法。e-Tax(国税電子申告・納税システム)の利用開始手続きをし、e-Taxでの申告書提出が必要。
・インターネットバンキング
金融機関のインターネットバンキング機能を利用して納税する方法。金融機関のWEBサイト等から利用契約を行い、ID・パスワードの取得が必要。
・クレジットカード納付
クレジットカード支払の機能により立替払いで納税する方法。国税庁長官が指定した納付受託者に委託し、その受託者が一旦立替払いしたのち納税者から領収する。
・スマホアプリ納付
スマートフォン決済専用のサイトからPay払いを選択し、納税する方法。
※利用できるPay払い
PayPay・d払い・au PAY・LINE Pay・メルペイ・Amazon pay・楽天Pay
・振替納税 (※個人事業主の方のみ利用可能)
ダイレクト納付同様、納税者本人の預貯金口座から税金を口座引き落としする方法。 変更や取りやめ依頼をしない限り、追加の手続きなく自動引き落としされる。
〈現金納付〉
・コンビニ納付(QRコード/バーコード)
QRコード:国税庁HPからQRコードを作成・コンビニ端末で納付書を出力し、コンビニ窓口で納付する方法。
バーコード:税務署から送付/交付されたコンビニ専用のバーコード付き納付書を用いて納税する方法。
・窓口納付
金融機関又は所轄の税務署に出向き、納付書を添えて現金で納付する方法。
それぞれのメリット・デメリット
次にそれぞれの納付方法のメリット・デメリットについてご紹介します。ご自身のライフスタイルによってベストな納付方法は違いますので、検討する一助になれば幸いです。
〈キャッシュレス納付〉
・ダイレクト納付
(メリット) 口座引落としする日は即時・指定した期日で選択することができるため、多額の納税となった場合でも資金繰りを考慮した任意のタイミングで納税することができる。また、会社・自宅など場所を選ばず納付でき、手数料も発生しない。令和6年4月からは自動ダイレクトも利用可能になり、手続きが簡素化された。
※自動ダイレクト:申告等データ送信とダイレクト納付を一括で行える機能
(デメリット) 事前にe-Tax(国税電子申告・納税システム)の利用開始手続きと専用の届出書を書面で提出する必要がある(提出してから登録完了するまでおおむね1か月)。
※個人の方はオンラインで提出することも可能(その場合の登録完了まで時期は1週間)。
・インターネットバンキング
(メリット) ダイレクト納付と同様、納付場所を選ばない・手数料不要(利用する金融機関によって手数料が発生する場合があります)。
(デメリット) 利用可能なインターネットバンキング等の契約をする必要あり。
・クレジットカード納付
(メリット) 納税した金額に対してポイントがつく。クレジットカード利用手続き以外に煩雑な手続きや届出は必要なし。
(デメリット) 決済手数料がかかる。クレジットカード利用可能範囲に限られ、かつ、1,000万円未満の納税でしか利用できない。また、「印紙税」や「登録免許税」など利用できない税目あり。
・スマホアプリ納付
(メリット) 普段使い慣れた決済方法から納税できる。ダイレクト納付やインターネットバンキング等と同様、納付する場所を選ばない。
(デメリット) 30万以下の納税でしか利用できない。
・振替納税(※個人事業主の方のみ利用可能)
(メリット) 手続きは初回のみで、翌年以降は自動的に引落。
(デメリット) 口座振替の際、残高不足だと延滞税がかかる。また、転居など所轄の税務署が変わる場合や振替口座を変更する際には、新たに振替依頼書を提出する必要あり。
〈現金納付〉
・コンビニ納付(QRコード/バーコード)
(メリット) 24時間納付可能。コンビニ決済の為、手軽に納付できる。手数料なし。
(デメリット) QRコード/バーコードどちらも30万以下の納付限定。コンビニ決済時にカードや電子マネーでの支払はできない。領収書の発行なし。
・窓口納付
(メリット) インターネット環境が必要ない。
(デメリット) 金融機関又は税務署の受付時間の制約あり。また、実際に出向かなくてはならない。e-Taxにより申告書を提出している場合は2024年5月以降、納付書の送付が廃止になったため、税務署・金融機関等で入手する必要あり(金融機関は在庫がない場合もあります)。
利用準備手続き
最後にそれぞれの納付方法を利用するにあたって、利用準備が必要な場合があります。準備手続きは利用方法によって事前準備に必要期間が異なりますので、注意が必要です。下記にリンクを貼っていますので、ご興味のあるものをご覧ください。
〈キャッシュレス納付〉
・ダイレクト納付
・インターネットバンキング
・クレジットカード納付
・スマホアプリ納付
・振替納税(※個人事業主の方のみ利用可能)
〈現金納付〉
・コンビニ納付(QRコード/バーコード)
QRコードの場合
バーコードの場合
・窓口納付
税務署・金融機関で入手可能な納付書の用意
まとめ
ここまで、国税の各種納付方法のそれぞれのメリット・デメリットを説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ご自身のライフスタイルや働き方によってもどの納付方法が一番合っているかは変わります。また、法人/個人の違いや税目によっても利用しやすい方法は変わるものもあります。
ダイレクト納付といわれても、今まで納付書による窓口納付しかやったことがない方は戸惑いを感じられると思います。やり方が色々あるのは分かったけど、結局どの納付方法がよいのかわからない…といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
TOMAではそうした疑問に対するアドバイスも含め、医療分野に強い税理士より、業界最新情報やセカンドオピニオンをご提供していますので、ご興味のある方はこちらよりお気軽にお問い合わせください。また、下記メルマガでも最新情報を発信しています。