BLOG

専門家によるブログ

病院・医院経営ブログ

医療機関のキャッシュレス決済導入について-決済方法の種類や導入後の会計処理について紹介!

記事作成日2023/03/22 最終更新日2023/03/23

X
facebook
copy

街中でキャッシュレス決済を使用される方を頻繁に見かけるようになりましたが、自院のキャッシュレス化はお済みでしょうか。院内のインフラ整備や費用などオンライン資格確認の導入で設備を整えた今がチャンスだと思います。今回はキャッシュレス決済の種類や導入後の会計処理の方法についてご紹介します。

キャッシュレス決済とは

一言でキャッシュレス決済といっても様々な種類があります。

・クレジットカード
・デビットカード
・交通系電子マネー(Suica、PASMOなど)
・流通系電子マネー(WAON、nanaco、楽天Edyなど)
・後払い型電子マネー(QUICPay、iDなど)
・QRコード決済(PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、d払いなど)

昨今では新型コロナウイルスの影響もあり、非接触での決済を選ぶ人が増えつつあります。
(出典:消費者庁 店頭購入及びキャッシュレス決済に関する意識調査結果)

また消費者庁の調査では利用頻度の高いキャッシュレス決済手段についても明らかになっています。
令和4年2月時点でキャッシュレス決済手段の頻度順に並べると

①クレジットカード
②バーコード・QRコード決済
③流通系電子マネー
④交通系電子マネー
⑤その他スマホ決済(Apple Pay、Google Pay等)
⑥デビットカード
⑦その他

となっています。次に年代別の決済手段ですが、下記データから全世代を通してクレジットカード利用者が多いことが分かります。どの決済方法に対応すべきか迷われるかと思いますが、キャッシュレス決済導入を考えた際は、まずクレジットカード決済に対応できるよう準備すると安心でしょう。
(出典:消費者庁 店頭購入及びキャッシュレス決済に関する意識調査結果)

医療機関向けキャッシュレスサービスについて

キャッシュレス決済導入についてまず何から着手すべきなのか、見当がつきにくいかと思います。日本医師会ORCA管理機構では医療機関のキャッシュレス決済導入を後押しするため、以下のサービスプランを用意していますのでご紹介します。

提供プラン及び手数料

●基本プラン
<VISA、Mastercard>
・日医会員 1.5%(非課税)
・非会員  2.46%

<JCB、Amex、Diners>
・日医会員 会員特別料率(※)
・非会員  利用不可
※日医会員特別料率は、日本医師会の会員限定メンバーズルームの「医師会活動について」をご参照ください

●オプションメニュー
<各種交通系ICカード、WAON、nanaco、iD・楽天Edy>
・日医会員 2.53%(税込)
・非会員  利用不可

●その他決済手段
<QRコード決済>
参考手数料 1.2%~

費用等

<基本費用(※)>
・端末費用 1台まで無償
・設置工事 1台まで無償
・月額利用料 電子マネー以外は無償
・消耗品 ロール紙を無償提供
・振込手数料 220円/振込毎(月に1.2回)

<オプションメニュー利用料(日医会員のみ)>
電子マネーセンタの接続利用料(550円/月・台)を負担

<その他(※)>
・端末追加 実費負担/1台
・POS連動機能追加 実費負担/1接続
・POS連動用ケーブル 実費負担/1接続

<決済明細の確認(※)>
・NTTデータの提供する加盟店WEB画面 無償
・JPQRの提供する決済画面 無償

※日医会員・非会員共通の費用です

(出典:日本医師会ORCA管理機構株式会社 医療機関向けキャッシュレスサービス導入のご案内)

またこのサービスには決済端末の提供も含まれているため、どの機器を選ぶべきかという心配もありません。キャッシュレス決済導入の際はぜひご検討してみてはいかがでしょうか。

会計時の処理方法について

今まで現金のみで決済を進めてきた医療機関にとって、決済方法が変わることが不安材料になるかと思います。

保険適用の診療を10,000円で行ったと仮定し、現金で支払いを進めた場合とキャッシュレス決済を導入した場合、会計処理にどのような違いが生まれるのか確認しましょう。
※患者の負担割合は対象者の多い3割とします

<現金決済の場合>
診療報酬のうち、3割は患者負担分としてその場で受け取るため即時入金となります。また残りの7割はレセプトで請求をあげますので、請求をあげた時点では未収入金として計上します。そして後日社保・国保から入金された際に取り崩します。

●窓口での収入
現金 / 窓口収入 3,000円

●保険料の収入
①レセプトでの請求時
保険未収入金 / 保険請求収入 7,000円

②入金時
預金 / 保険未収入金 7,000円

<キャッシュレス決済の場合>
現金での支払いと大きく違うのは、決済をした際に発生する手数料です。収入全体から手数料が引かれると考えてしまいがちですが、医療機関の場合、手数料の対象は患者の自己負担額分となります。そのため収入の内訳は以下のようになります。
※クレジットカードで決済を行い、手数料は1.5%と仮定

●窓口での収入
①患者による決済時
カード未収金 / 窓口収入 3,000円

②入金時
預金 2,955円 / カード未収金 3,000円
支払手数料 45円(※)
※決済手数料 10,000円×1.5%×3割=45円

●保険料の収入
①レセプトでの請求時(現金決済と同じ)
保険未収入金 / 保険請求収入 7,000円

②入金時
預金 / 保険未収入金 7,000円

キャッシュレス化が進む今後を見据えて

キャッシュレス決済導入のメリットとして、患者を待たせない迅速な会計や、現金を銀行へ預けに行く負担の軽減などが挙げられます。その一方で、決済手数料がかかる、患者負担分の振込サイクルの考慮といったデメリットも考えられます。そのためなかなか導入に踏み切れない医療機関が多くありますが、今の時期に導入を進めることで他院との差別化を図ることができます。

また、街中にはキャッシュレスしか決済手段がないお店もできており、今後は一層現金からキャッシュレス決済への移行が加速していくと見られます。オンライン資格確認が義務化されるこの時期に、自院のキャッシュレス決済導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。

TOMAでは今回ご紹介した内容のほか、ブログメルマガなどで医療に関する情報発信、経営などの無料相談も行っております。ブログの内容に限らずご不明点などございましたら、お気軽にTOMAへお問い合わせください。

◆開業支援、節税、経営改善、承継…医療機関支援30年以上のノウハウでサポート。

◆医療機関が元気になる話題を毎月お届けする、TOMAのメールマガジンです。

◆心強い「共同経営者」として貴院の経営をきめ細やかにサポート致します。

初めての方 閉じる