平成26年3月に厚生労働省医政局長より、医療法人会計基準についての通知が発行されました。
◆医療法人の計算書類に係る部分が対象
この新しい医療法人会計基準は、医療法第50条の2に規定される医療法人が準拠すべき「一般に公正妥当と認められる会計の慣行」を具体化するものの一つとして取りまとめたものであり、決算書に関する表示基準はあるが、具体的な処理基準がないという問題の解決を図ることを意図しています。
しかし、一人医師医療法人についてまで適用することを前提としたものではありません。
特徴としては、民間非営利法人である医療法人が株式会社等の企業とは種類の異なる法人であることから、近年、投資情報重視型に改定されている企業会計の手法が、他の民間非営利法人の会計基準でも取り入れられている範囲に限定されている点です。
また、医療法人のすべての会計制度について網羅的に規定したものではなく、医療法人の計算書類に係る部分のみを対象としたものとなっています。
◆会計基準適用医療法人の範囲が明確に
平成28年4月20日には新しい医療法人会計基準を定める省令が、厚生労働省により公布されました。(厚生労働省令第95号)。同日付の官報に掲載されています。
今回公布された省令により、会計基準の適用及び外部監査の実施が義務付けられる医療法人(法第51条第2項及び第5項)について、具体的に次の法人であることが定められました。
(1) 医療法人(社会医療法人を除く)については、貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が50億円以上又は損益計算書の事業収益の部に計上した合計額が70億円以上の法人。
(2) 社会医療法人については、貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が20億円以上又は損益計算書の事業収益の部に計上した合計額が10億円以上で、社会医療法人債を発行している法人。
上記省令は平成29年4月2日より施行されます。