平成28年度の確定申告が終わりました。確定申告を終えた今だからこそ、前年の実績を振り返り、来年に向けての対策を考えてみましょう。今回は、お医者様を対象とした特例制度である「社会保険診療報酬の所得計算の特例」についてご紹介致します。こう聞くと馴染みがないかもしれませんが、いわゆる「概算経費の特例」のことです。こちらの名称でしたら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
◆概算経費の特例とは
一定の要件を満たした医業又は歯科医業を営む者が、社会保険診療について報酬を受ける場合、所得金額の計算上、実際の必要経費に関わらず、その報酬の金額に一定の割合を乗じた金額を必要経費とすることができます。
(参考1)社会保険診療報酬に係る概算経費の速算表
社会保険診療報酬の金額(A) | 概算経費の額 |
2,500万円以下の場合 | A×72% |
2,500万円超 3,000万円以下の場合 | A×70% + 50万円 |
3,000万円超 4,000万円以下の場合 | A×62% + 290万円 |
4,000万円超 5,000万円以下の場合 | A×57% + 490万円 |
◆注意点はあるの?
この特例制度を活用すると、実際に支出した金額よりも多くの必要経費を計上することも可能となり、節税の手段としては非常に有効です。また、この制度を適用するかどうかは確定申告の際に選択を行うため、来年の確定申告にあたり現時点での手続きなどは必要ありません。今からでも準備が可能ですので、有利不利の判断等でお悩みの方はぜひご相談ください。
本特例に継続適用などの条件はなく、確定申告の際に選択を行うことができるのですが、一度この特例を選択して申告した分については、後日選択しない方が有利だと判明しても更正の請求はできません。確定申告を行う前に正確な判断ができるように準備をしておきましょう。
また、今回はご紹介ができませんでしたが、本特例の適用にあたっては要件もございます。ご検討される方は本年の確定申告の振り返りとあわせて、来年の確定申告に向けて専門家にご相談ください。