9 月15 日に厚生労働省より「平成28 年度 医療費の動向」が公表されました。これは医療機関からの診療報酬請求に基づいて医療保険・公費負担医療分の医療費を月々集計している「最近の医療費の動向」を1 年分集計したもので、年1 回秋に公表されます。医療費の動向を迅速に把握し、医療保険行政に役立てようという目的で行われています。
◆平成28 年度の医療費は減少
上の表をご覧ください。平成28 年度は前年度に比べ、総計が0.18 兆円の減少となっています。内訳を見てみると、調剤が▲0.38 兆円と特に減少していることが分かります。これは、平成27 年度にC 型肝炎治療薬等の抗ウイルス剤の薬剤料の大幅な伸びが見られたのに対し、平成28 年度は同薬剤料が減少したこと、また診療報酬のマイナス改定の影響により一時的に減少したものと厚生労働省は分析しています。平成28 年度診療報酬改定は全体で▲0.84%の改定であり、そのうち薬価は▲1.33%と大きくマイナスとなりました。その影響が医療費の推移に表れたものと考えられます。
◆ 1 人当たり医療費は後期高齢者医療で減少傾向
次に制度別の1 人当たり医療費の伸び率を見てみましょう。
75 歳以上の後期高齢者医療が▲2.0%と減少しています。これは医療費適正化の推進により平均在院日数が短縮されたことなど、後期高齢者医療を中心とした医療費抑制の効果によるものと考えられます。なお、後期高齢者医療については、1 人当たり医療費は減少していますが総額では1.2%増加しています。これは、高齢化による後期高齢者人口の増加が1 人当たり医療費の減少を上回ったためと考えられます。
[小冊子02:病・医院開業継承]