厚生労働省はH27 年12 月、「平成26 年(2014)患者調査の概況」を公表しました。この調査は、医療施設を利用する患者の属性、状況、地域を把握する調査で、H26 年10 月の特定の1 日について(退院患者についてはH26 年9 月の1ヶ月間)の数値を分析しています。
調査日に全国の医療施設で受療した推計患者数は、入院が1,318.8 千人、外来が7,238.4 千人でした。年次推移を見ますと、入院はおよそH20 年以後減少傾向、外来は近年横ばいの傾向にあります。
年齢階級別で年次推移を見ていきますと、65 歳以上は入院、外来共にかなりの増加傾向にあります。特に外来は、S59 年が1,601.0 千人であったのに比べH26 年は3,510.2 千人と、倍以上の数字となりました。一方他の年齢階級は、いずれも減少傾向となっております。
人口10 万人に対する推計患者数の割合である受療率は、入院1,038、外来が5,696 であり、入院はH2 年、外来はH8 年をピークとして減少してきております。
年齢区分別、入院・外来別で見てみますと、年次推移で受療率が増加傾向にあるのは「0~14 歳、外来」の区分のみであり、その他の区分はいずれも減少傾向でした。
「65 歳以上、外来」は、他より特に受療率が高い区分です。この区分は、S59 年以後の年次推移によりますと、H8 年のピーク14,509 であるのに対し、H26 は10,637 と、ピーク以後大きく減少していることが読みとれます。
また、退院患者の平均在院日数は、病院33.2 日、一般診療所17.4 日でした。病院はH2 のピーク47.4 日、一般診療所はH5年のピーク28.9 日と比べ、平均在院日数は短くなっています。
その他、入院前の場所・退院後の行き先や、主な傷病の総患者数といった情報が公表されています。
受療率や地域の人口分布などの情報は、診療圏調査に大きな影響を与えますが、その数値は年々変化していきます。さらに競合医院の開設等がありますと、患者の分布が数年で大きく変わることもあります。開業して年月が経っている医院は、今一度診療圏調査などの分析を行ってはいかがでしょうか。