平成27年の医療法改正を受け、医療法第51条第2項の規定に基づき、医療法人会計基準を定めた省令(平成28年4月20日厚生労働省令第95号)が公布され、平成29年4月2日から施行。同日以後に開始する会計年度に係る会計について適用されることとなりました。
今回は、病院の従業員に支給する給与と一緒に支払っている通勤手当、旅費交通費について、病院の管理会計に資する病院会計準則、及び医療法人会計基準の観点からご説明します。
◆病院会計準則の処理について
病院会計準則上、通勤手当は給与として処理します。損益計算書の医業費用の部の給与費区分に当該勘定科目で表示し、旅費交通費には計上しません。
なお、所得税法上、従業員に支給する通勤手当や通勤定期券などは、一定限度額までは非課税となっています(所得税法施行令第20条の2)。これは、病院が毎月源泉徴収している従業員の給与の対象範囲として、非課税通勤費を含めないことを意味します。
〈通勤手当の非課税限度額〉
非課税となる限度額は次の(1)、(2)の合計額ですが、1か月当たり15万円が限度です。
(1)電車、バスを利用…1か月間の通勤定期券などの金額
(2)自転車、自動車等を使用…距離に応じた非課税限度額まで
◆医療法人会計基準上の処理について
医療法人会計基準上も、通勤費は給与として処理しますが、損益計算書の事業損益の区分に事業費用として表示します。
上記のほか、業務のための出張旅費に係る費用は、病院会計準則、医療法人会計基準上のいずれの場合も旅費交通費として処理します(開示場所が医業費用であるか、事業費用であるかという違いはあります)。
この旅費交通費は、出先での検診や在宅医療での往診など医療活動に係る業務上必要な交通費や宿泊費が対象となります。なお、研究または研修のための出張旅費は旅費交通費には含めず研究費または研修費として処理します。
今回ご案内した通勤手当や旅費交通費をはじめ、新しい医療法人会計基準は施行されたばかりです。不明な点や不安な点がありましたら、お気軽にTOMAにご相談ください。