働き方改革と医師の長時間労働
働き方改革による時間外労働の上限規制が、労働基準法に基づき2019年4月1日より施行されました。医師の場合は猶予があり、5年後の2024年4月1日施行となっています。
医師は長時間労働の傾向があり、ある調査によると1ヶ月80時間超の時間外労働を行う医師は全体の4割だそうです。社会的に働き方改革が唱えられる中、医師の労働時間削減が必要となっています。このような背景から、医師及び医療関係者の労働時間を短縮するための設備の導入を促進する制度が平成31年の税制改正で創設されました。
勤務時間短縮用設備の特別償却
医師等の労働時間の削減が期待される対象の資産を購入した場合、普通の償却限度額に加え、対象資産の取得額の15%相当額を特別償却限度額まで償却することができるようになりました(以下、勤務時間短縮用設備等)。
対象の資産は医師の勤怠管理等を目的としたソフトウエアと、電子カルテ・パソコン・ベッド・CT・MRI・心電計・超音波診断装置等の器具備品であり、2019年4月1日から2021年3月31日までに取得、製作されたものになります。また、1台又は1基の取得価額が30万円以上のものに限ります。
厚生労働省の資料では、勤務時間短縮用設備等の具体例を列挙していますが、資料に例示されていない設備等でも、メーカー又は販売会社が、パンフレット等で医師等の労働時間削減につながるような性能として、従来の製品より3%以上の効率化を謳っていた場合、制度の適用を受けることができます。制度を利用するには、勤務時間短縮用設備等の取得前に病院又は診療所の所在地の都道府県に設置された医療勤務環境改善支援センターへ医師等勤務時間短縮計画の提出とその認可が必要となります。
その他の特別償却制度
今回の税制改正で、他に2つの特別償却制度が2019 年4 月1日から2021年3 月31日の期間を対象に設けられました。1つは地域医療構想調整会議による役割等の対応指針に基づいて、病院又は診療所を新築・改築した場合、建物と建物附属設備の取得価額の8%を特別償却できるようになりました。2つ目は、高額医療機器の共同利用等を目的とし、全身用CTと全身用MRIを新規で取得した場合、取得価額の12%を特別償却することができる制度です。
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