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社会福祉連携推進法人について

記事作成日2021/09/24 最終更新日2021/09/24

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概要

令和2年6月に公布された「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」に基づき、令和4年度から、「社会福祉連携推進法人制度」が施行されます。社会福祉連携推進法人は、社会福祉法人等が社員となり、福祉サービス事業者間の連携・協働を図るための取組等を行う新たな法人制度です。社会福祉連携推進法人の活用により、福祉・介護人材の確保や、法人の経営基盤の強化、地域共生の取組の推進などが可能となります。

人口動態の変化や福祉ニーズの複雑化・複合化の中で、社会福祉法人は、社会福祉法人の経営基盤の強化を図るとともに、こうした福祉ニーズに対応することが求められています。

このため、社会福祉法人間の連携方策として、「社会福祉協議会や法人間の緩やかな連携」、「合併、事業譲渡」、「社会福祉法人の新設」に加え、新たな選択肢の一つとして、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人である「社会福祉連携推進法人」を創設されました。

社会福祉法人等が、法人の自主的な判断のもと、円滑に連携 ・協働しやすい環境整備を図ります。

法人運営のポイント

○社会福祉連携推進区域(業務の実施地域。実施地域の範囲に制約なし。)を定め、社会福祉連携推進方針(区域内の連携推進のための方針)を決定・公表することとなります。

○社会福祉連携推進業務の実施(以下の6業務の中から全部又は一部を選択して実施)します。

○上記以外の業務の実施は、社会福祉連携推進業務の実施に支障のない範囲で実施可(社会福祉事業や同様の事業は実施不可)です。

○社員からの会費、業務委託費等による業務運営(業務を遂行するための寄附の受付も可)が可能です。

○社員である法人の業務に支障が無い範囲で、職員の兼務や設備の兼用も(業務を遂行するための財産の保有も可)可能です。

 

社会福祉連携推進業務

①地域福祉支援業務

「地域福祉の推進に係る取組を社員が共同して行うための支援」は、

・ 地域住民の生活課題を把握するためのニーズ調査の実施

・ ニーズ調査の結果を踏まえた新たな取組の企画立案、支援ノウハウの提供

・ 取組の実施状況の把握・分析

・ 地域住民に対する取組の周知・広報

・ 社員が地域の他の機関と協働を図るための調整

等の業務が該当します。

→社会福祉連携推進法人の社員による新たな取り組みの実施により、地域福祉の充実につながります。

➁災害時支援業務

「災害が発生した場合における社員が提供する福祉サービスの利用者の安全を社員が共同して確保するための支援」は、

・ ニーズの事前把握

・ BCP の策定や避難訓練の実施

・ 被災施設に対する被害状況調査の実施

・ 被災施設に対する応急的な物資の備蓄・提供

・ 被災施設の利用者の他施設への移送の調整

・ 被災施設で不足する人材の応援派遣の調整

・ 地方自治体との連絡・調整

等の業務が該当します。

→福祉サービス利用者の安心・安全確保、災害時の事業継続の強化に繋がります。

③経営支援業務

「社員が経営する社会福祉事業の経営方法に関する知識の共有を図るための支援」は、

・ 社員に対する経営ノウハウ等に関するコンサルティングの実施

・ 賃金テーブルの作成等人事・給与システムに関するコンサルティングの実施

・ 社員の財務状況の分析・助言

・ 社会福祉法人会計に関する研修の実施等適正な財務会計の構築に向けた支援

・ 社員の特定事務に関する事務処理の代行

等の業務が該当します。

→福祉サービス事業者の経営の安定確保が期待されます。

④貸付業務

社会福祉事業を安定的に行うために実施する連携法人から社会福祉法人への貸付の原資として、貸付対象ではない社員である社会福祉法人から連携法人への貸付を認められます。

また、連携法人への貸付額は、当該社会福祉法人の拠点において経常活動収支差額が黒字かつ資金不足が生じない範囲等(法人本部への繰入れ可能額)の範囲で認められます。

→貸付金の使途

施設・事業所に供する建物の修繕、軽微な改修など、社会福祉事業の安定な運営に必要な改修

従業員の採用、処遇改善など社会福祉事業の安定的な運営に必要な職員の人件費

などに限定されます。

⑤人材確保等業務

「社員が経営する社会福祉事業の従事者の確保のための支援及びその資質の向上を図るための研修」は、

・ 社員合同での採用募集

・ 出向等社員間の人事交流の調整

・ 賃金テーブルや初任給等の社員間の共通化に向けた調整

・ 社員の施設における職場体験、現場実習等の調整

・ 社員合同での研修の実施

・ 社員の施設における外国人材の受け入れ支援

等の業務が該当します。

→学生等求職者への訴求力の向上、福祉・介護人材の資質向上、採用・研修コストの縮減が期待されます。

⑥物資等供給業務

「社員が経営する社会福祉事業に必要な設備又は物資の供給」は、

・ 紙おむつやマスク、消毒液等の衛生用品の一括調達

・ 介護ベッドや車いす、リフト等の介護機器の一括調達

・ 介護記録の電子化等 ICT を活用したシステムの一括調達

・ 社員の施設で提供される給食の供給

等の業務が該当します。

→設備・物資の大量購入による調達コストの縮減が期待されます。

社会福祉連携推進法人とこれまでの連携方策との比較

○社会福祉連携推進法人の特徴は、社会福祉協議会とは異なり、地域の限定がありません。

○必ずしも合併を前提として設立する必要はありません。自主的な連携と比較すると、法的ルールに則った深い連携、協働化が可能になります。

まとめ

○社会福祉連携推進法人は、①社員の社会福祉に係る業務の連携を推進し、②地域における良質かつ適切な福祉サービスを提供するとともに、③社会福祉法人の経営基盤の強化に資することを目的として、福祉サービス事業者間の連携方策の新たな選択肢として創設されました。

○2以上の社会福祉法人等の法人が社員として参画し、その創意工夫による多様な取組を通じて、地域福祉の充実、災害対応力の強化、福祉サービス事業に係る経営の効率化、人材の確保・育成等を推進しています。

⇒社会福祉連携推進法人の設立により、 同じ目的意識を持つ法人が個々の自主性を保ちながら連携し、規模の大きさを活かした法人運営が可能となります。


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出典:厚生労働省資料

「社会福祉連携推進法人の施行に向けた検討について」

「社会福祉連携推進法人の運営等について」

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