今回は、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人とは、そもそもどのような法人であり、これらの法人の違いや関係性、活用方法についてお伝えさせていただきます。
一般社団法人と一般財団法人
一般社団法人、一般財団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき設立される法人です。新公益法人制度改革によって、定款認証と登記のみでできる法人です。社団は社員と呼ばれる人の集まりで構成される法人で社員に出資持分はなく、財団は設立者から寄贈された財産(300万円以上)の集合体で、その財産を管理運営する団体です。
設立が比較的容易であり、かつ、下記の5つの特徴を有することから、経営者や資産家の方が税務メリットを享受しつつ、社会貢献事業を実施するために設立している例が多々あります。
①出資持分がなく、事業内容にも制限がない。
②株式を保有できる(分散防止効果)。
③一定の要件に該当すれば(非営利型法人)、収益事業のみ法人税課税され、収益事業に該当しない事業は法人税が非課税となる。
④非営利型法人に寄附した場合で、収益事業以外の用途に利用した場合、法人側で受贈益課税されない。
⑤個人が法人に株式等の資産を寄附する場合、一定の場合には個人の所得税が非課税となる場合がある。
公益社団法人と公益財団法人
公益社団法人、公益財団法人とは、一般社団・財団法人よりも社会的ステイタスの高い法人として行政庁から認定を受けた法人となります。
一般社団・財団法人にない特別な優遇措置がある一方、行政庁からの審査等を受けなければならず、管理体制等を万全にする必要のある法人です。
公益社団法人・公益財団法人には下記の5つの特徴があります。
①相続財産の寄付について非課税となる場合がある。
②株式の50%まで所有でき、株の分散が防止できる。
③預金や有価証券の利息にかかる源泉所得税が非課税
④株式の配当にかかる源泉所得税が非課税
⑤個人や法人が寄附した場合の税制優遇がある
ただし、①の相続財産の非課税については、一定の要件を満たさなければ適用できないので、注意が必要です。
一般社団・財団法人と公益社団・財団法人
公益社団・財団法人は、一般社団・財団法人が行政庁に申請し、審査を受ける形で認定されます。つまり、行政庁の公益認定を受けた一般社団・財団法人が、公益社団法人・公益財団法人となるのです。
公益認定を受けていない一般社団・財団法人と、公益社団・財団法人とを分けるのは、公益三法(※1)と呼ばれる公益法人制度に関する3つの法律です。
法人税を課するにあたり、法人税法では、公益認定を受けていない一般社団・財団法人をさらに2つに分けます。非営利性が徹底されている、又は共益的活動を目的とする非営利型法人と、それ以外の法人です。こうして、公益社団法人、公益財団法人、非営利型法人を公益法人等と分類し、一般社団・財団法人のうち非営利型法人以外の法人を普通法人として取り扱います。
※1公益法人三法とは下記の三法をいう。
①一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(法人法)
②公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(認定法)
③一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)
おわりに
一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人について簡単にご説明いたしました。これらの設立にあたっては、社会的信用を高めたい場合や、グループ企業等が発展的な活動を目指して、そのCSR部門を分離独立する場合など、その目的に応じて、一般社団法人とするのがよいのか、一般財団法人とするのがよいのか、最善の形は違ってきます。
また、機関設計には決まりがあったり、公益法人となった場合には、定期的に立入検査が行われたりと、運用していく上で重要なポイントもございます。
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