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公益法人への遺贈を巡る課税関係

記事作成日2018/06/12 最終更新日2018/06/12

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◆公益法人への遺贈

遺言で財産を贈与したいと言われているといったご相談を公益法人から受けることがよくあります。こういった場合、どのような課税関係が生ずるのでしょうか?

◆相続税の非課税財産

相続税法には公益を目的とする事業を行う者が、遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業の用に供することが確実な財産の価額は、相続税の課税価格に算入しないといった決まりがあります。公益法人に対して財産を遺贈した場合、相続税の計算上、その財産の金額は計算に含まないこととなります。ただし、その財産を取得した者が、遺贈等により取得した日より2年を経過しても、公益事業の用に供していない場合においては、その財産の価額は遡ってその人の相続税の課税価格の計算に含まれることとなりますので注意が必要です。

◆法人への贈与に対する所得税

公益法人に財産を遺贈した場合、個人が所有している財産を他の者へ時価で移転したこととされ、譲渡所得の課税が発生します。遺贈される資産に対して含み益がある場合、遺贈により含み益が実現したものとみなされ所得税の課税が行われます。
ただし、この所得税の課税についても、一定の要件の下、非課税の特例措置があります。この特例措置を受けるための要件には、遺贈された財産が2年以内に公益事業に供される見込みであること、遺贈をした者の所得税もしくは、親族に対する贈与税を不当に減少させる結果とならないと認められることといったものがあります。
譲渡所得税の非課税措置を受けるためには、遺贈する者、もしくは相続人が申請する必要があり、その過程においては、遺贈を受ける公益法人も関与する必要があります。

◆法人への相続税課税

相続税は個人に対する税金のため、原則として法人に対して相続税の課税はありません。しかし、持分のない法人(公益法人を含む)に対し遺贈して、その結果、遺贈をした者の親族の相続税負担が不当に減少すると認められる場合には、その法人を個人とみなして相続税が課税されることとなります。
公益法人等が遺贈を受ける場合、「不当に減少する」に該当する用件を確認し、法人が相続税の課税対象とならないことを確認する必要があります。公益法人が、財産の遺贈を受ける場合、所得税、相続税などさまざまな税金が関わってきます。もし財産を遺贈したいとのご相談を受けた場合は一度、専門家にご相談ください。