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公益事業を行う者への遺贈を巡る課税関係 ~相続税~

記事作成日2018/02/28 最終更新日2018/05/21

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2月も末になり徐々に暖かい日も増えてきている今日この頃ですが、みなさまはどうお過ごしでしょうか。

今回は、公益法人等の新しい資金源として注目されています【遺贈】について説明していきたいと思います。

 

まずはじめに【遺贈】とは、遺言により法定相続人以外の人や組織に対して、

財産の全部、または一部を無償で贈与(譲渡)することを言います。

個人の遺言で、その遺言者が死亡し相続手続きを経ることにより、

その財産の全部又は一部の所有権がその相手に移りますので、通常の寄付とは少し異なります。

 

なぜこの遺贈が公益法人等で注目されているかというと、

遺贈する側においても、それを受ける側においても一定の条件の下で、

税制上の優遇が受けられる仕組みとなっているからです。

今回は公益事業を行う者への遺贈に係る相続税の課税関係を見ていきましょう。

 

相続税の条文では、

宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが

相続又は遺贈により取得した財産で

当該公益を目的とする事業の用に供することが確実な財産の価額は、

相続税の課税価格に算入しない。(相続税法12条①三)(相続税の非課税財産)

となっております。

 

ここでいう宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業とは、

・社会福祉事業

・更生保護事業

・家庭的保育事業

・小規模保育事業

・事業所内保育事業

・学校又は認定こども園を設置し、運営する事業

・その他の宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業

とされております。

当該公益を目的とする事業の用に供することが確実な財産とは、

その財産について、相続開始の時において公益事業の用に供することに関する

具体的な計画があり、かつ、その公益事業の用に供される状況にあるものをいうこととされています。

 

すなわち、公益性、公共性が高い公益事業を行う一定の者が、

相続又は遺贈により取得した財産をその公益事業で使用する場合には、

相続税が非課税になるということです。

※法人に対して財産の遺贈が行われた場合には、基本的には相続税の課税対象には含まれません。

(相続税は基本個人に対する税金のため)ただし、法人税において受贈益課税がされますが、

公益法人等に対する遺贈の場合で一定の要件の下では、課税関係は生じません。

 

しかし、その財産を取得した人が、その財産を相続又は遺贈によって取得した日から2年を経過した日において、

なお公益事業の用に供していない場合においては、その財産の価額は遡って、

その人の相続税の課税価格の計算の基礎に算入されることとされていますので、

そこは注意が必要です。

 

また、遺贈を受けた公益法人等が、

その遺贈によって遺贈者の親族等の特別関係者の相続税の負担が不当に減少する結果となると

認められるときには、遺贈を受けた公益法人等を個人とみなして、

相続税が課されることになっておりますので、遺贈を使い相続税の租税回避ができないようにもなっております。

 

少し難しい話になってしまいましたが、

公益事業を行う者への遺贈は遺贈する側と受ける側との十分な協議が必要です。

多くの団体では、現金による遺贈寄付については受入れの経験はあるものの、

不動産や物品などの受入れについては体制が整っていないところが多いとのことです。

自らの財産を公益のために託すには、前もった準備が必要になります。

 

次回は、公益事業を行う者への遺贈を巡る所得税の課税関係についてです。

TOMAグループには、多くの専門家が在籍しておりますので、

ぜひご相談ください。