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公益事業を行う者への遺贈を巡る課税関係 ~所得税~

記事作成日2018/03/31 最終更新日2018/07/26

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日増しに暖かになりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

前回こちらのブログで、個人から公益法人等への「遺贈」に関する相続税の非課税制度についてお伝えしました。
今回は、この「遺贈」に関して、遺贈者に発生する所得税に関する非課税の特例措置の、制度と適用に際しての注意点についてお伝えします。

1.制度について

前回お伝えしたとおり、公益を目的とする事業を行う公益法人等が、個人から一定の財産を遺贈により取得した場合、当該取得財産は一定の要件の下相続税の課税対象となりません。

今回注目したいのは、上記の場合、個人が所有している財産を他者へと移転しているため、課税上の原則は資産を時価で移転したこととされ、譲渡損益が発生するということです。譲渡損益が発生すると、所得税課税の問題が発生します。

原則的に、遺贈されることとなる資産に含み益がある場合には、遺贈によって含み益が実現したものとみなされて、所得税の課税が行われます。

ただし、この所得税の課税についても、一定の要件の下、非課税の特例措置が講ぜられています。
一定の要件とは、下記の4つの要件(租税特別措置法第40条、租税特別措置法施行令第25条の17第5項より)です。これらを満たした場合、その遺贈がなかったものとみなされ、課税が発生しないことになります。

①公益を目的とする事業を行う公益法人等に対する財産の遺贈であること

②その遺贈が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すること

③当該遺贈に係る財産が、当該遺贈があった日から2年を経過するまでの期間内に、当該公益法人等の公益目的
事業の用に直接供され、又は、供される見込であることその他一定の要件を満たすものであること

④公益法人等に対して財産の遺贈をすることにより、当該遺贈をした者の所得税の負担を不当に減少させ、
又は当該遺贈をした者の親族その他これらの者と特別の関係がある者(相続税法第64条第1項)の相続税若しく
は贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められること

個人の所得税の非課税の特別措置を適用するためには、遺贈を受ける法人において、要件を満たしていくことが重要です。上記では、要件を4つに簡単にまとめましたが、こちらの要件を満たしているかの判定はさらに細かく見ていく必要がありますのでご注意ください。

2.適用に際して

譲渡所得等の非課税措置を受けるためには、適用を受けようとする者が手続きをする必要があります。
ただし、この手続きに際しても遺贈を受ける法人が関与する必要があります。

制度の適用を受ける場合には、遺贈により財産を取得する公益法人等の事業の目的、当該遺贈に係る財産の内容その他所定の事項を記載した申請書に、
当該公益法人等がこの申請書に記載された事項を確認したことを証する書類を添付して、当該遺贈のあった日から4月以内に、納税地の所轄税務署長を経由して国税庁長官に提出しなければなりません。
また、非課税の承認を受けた後も、上記の要件を満たし続けていない場合、非課税承認を取り消されることとなります。

特に、遺贈を受けた財産について、その公益目的事業の用に直接供し、それを継続することが重要となります。
もし、非課税承認が取り消された場合、遺贈者又は、遺贈を受けた法人を個人とみなして所得税の課税が行われますので、ご注意ください。

こちらのブログでは、引続き遺贈に関する課税制度についてお伝えしていきます。

TOMAコンサルタンツグループには、公益法人等に精通した税理士・公認会計士がおりますので、いつでもお気軽にご相談ください。