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Youtuberと税 第2回 ~法人編~

記事作成日2020/10/27 最終更新日2020/10/27

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前回の「Youtuberと税  第1回~個人編~」では、個人事業主としての税金についてお話ししました。第2回となる今回は、個人事業主のYoutuberが法人成りした場合、どのような違いがあるのか、税金面を中心にご紹介します。

法人税の税率

前編にて、個人の所得に対して課される所得税は、累進課税制度がとられており、所得の金額に応じて5%~45%で税率が変化するとご紹介しました。これに対し、法人の所得に係る法人税は、法人税・法人住民税・法人事業税を合わせた実効税率で約30%程です(R2.10現在)。このため、所得金額が大きく、一定規模の利益が出る場合は、法人成りをした方が税負担が有利となります。

個人事業主は、売上から必要経費を差し引いた残額全てが自分の所得金額となります。一方、法人の場合は、会社が社長である自分に給与(役員報酬)を払うという形式になります。この受け取った報酬には当然所得税額が課されることになりますので、法人成りをする場合は、法人税等の金額と個人が負担する所得税額の合計額を計算して、負担額を見極めることが重要となります。

損金の範囲

会社を設立した場合、その損金については、法人税法第22条3項に記載されています。

内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。

一  当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二  前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三  当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

所得税法上、必要経費に算入できる金額は「収入金額を得るために直接要した費用の額」と定められていますが、法人の場合、事業に関連している費用であれば損金として計上ができるということです。しかし、事業に関連するからといってなんでも損金へと計上できるわけではありません。税務調査が入った場合には、実際にその事業を行っており、それに係る支出ということを客観的に提示できるようにしておきましょう。

消費税の免税効果

個人事業主であっても法人であっても、創業時の2年間は消費税が原則として免税となります※1。そのため、個人での創業から2年後に個人事業主を廃止し、代わって法人を設立すれば、最長で4年間の納税免除が可能です。

 ※1 設立1年目の半年間の売上と給与の額がいずれも1千万円を超える場合や、資本金が1千万円以上などの例外があります

上記のほかにも、法人成りをすることにより社会的信用力のアップ等が見込まれますが、それと同時に赤字でも常に支払義務がある法人住民税の均等割額の発生や、事務手続きの複雑化等のデメリットも考えられます。法人成りを選択する際は、単に税金面だけではなく、より多角的な面からの検討が必要です。

2回に渡り、Youtuberと税、と題しまして個人事業主と法人の税の相違点をご紹介しました。特に経費関係は算入できる範囲に多少異なりがありますが、個人・法人に関わらず税務調査の際にはしっかりとした根拠を提示できるようにすることが重要です。

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