近年、YouTubeに動画を投稿して広告収入を得るYouTuberという職業がごくごく一般的になってまいりました。2019年に小学生男子が将来就きたい職業第1位に、YouTuberなどのネット配信者が輝いたことも記憶に新しいのではないでしょうか。
若者の憧れの的であるYouTuberの税金に着目し、全2回に渡ってお伝えします。
・第1回~個人編~
・第2回~法人編~
YouTuberの所得の区分
会社に勤務されている方々が受け取る給与は、所得の算定時に給与所得の区分で計算されるのは皆さんにも馴染みが深いかと思います。 では、YouTuberが広告収入としてYouTubeから受け取る収益はどの区分に該当するのでしょうか。副業と専業に分けて見ていきましょう。
①副業の場合・・・雑所得(その他) (総収入金額 – 必要経費≦20万円なら申告義務なし※1)
②専業の場合・・・事業所得(総収入金額 – 必要経費≦48万円なら申告義務なし)
※1 以下に該当しない場合に限ります。
1 給与の年間収入金額が2,000万円超
2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円超 など
(参照:国税庁HP No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人)
これら2つの所得に関しては、収入の金額から必要経費や所得控除などを差し引くことで、その年度のそれぞれの所得金額が求まります。必要経費に関しては次章で簡単にご説明します。
必要経費の範囲とは
商品紹介をされている方からゲームの実況をされている方まで、YouTuberとは一口に言っても、一人ひとり様々な切り口から動画を制作されているものと思います。そのため、動画制作に要する支出項目も多岐に渡るでしょう。果たして、それらの支出はすべて必要経費に算入されるのでしょうか?
雑所得と事業所得における必要経費の範囲を確認しましょう。
所得税法上の必要経費に算入できる金額は、次の2つに該当するものと定められています。
(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
(参考:国税庁HP、所得税法第37条)
客観的な事実なしには必要経費として認められない
実際の例として、ライブチャット配信者が自身の様々な支出について必要経費に算入されるべきであるとして不服を申し入れたものの、客観的事実が確認できないことから一部を除いて主張が認められなかった事例をご紹介します。
この裁決では、ライブチャットに使用するパソコン、ウェブカメラ、衣服、水着、ソファー、カーテン等を購入した費用及び美容費のうち、パソコン等の購入費及びインターネット接続料金のみについて必要経費として認められました。その他に関しては証拠の提出が無く、主張も一貫していなかったことなどから、業務遂行上の必要経費とは認められないと結論付けられています。
(参照:平成19年分~平成23年分の所得税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平26年5月22日裁決)
所得税法上の”直接要した費用の額”が対象とする範囲は、ご想像よりも狭いのではないでしょうか。
・業務との関連性
・業務遂行上の必要性
の2つを客観的に示せるように、常日頃から対策をする必要があります。
所得税額の計算
所得税とは、その名の通り、収入ではなく儲けの部分である所得にかかる税金です。所得の金額に応じて、5%から最高税率の45%までを所得金額に掛けることで所得税額を求めます。
個人事業主の場合、所得税とよく比較される税目に法人税等があります。所得税は所得の金額に応じて上昇していく累進課税制度であるのに対し、法人税等の法定実効税率は30%前後と低く、税コストを考慮すると法人成りしたほうが有利な場合があります。
詳しくは「YouTuberと税 第2回~法人編~」をご覧ください。
YouTuberを中心にお伝えしてまいりましたが、今回ご紹介した論点の中でも特に必要経費として算入するための基準は,すべての個人事業主や副業をされている方に当てはまる論点です。税務署からの指摘を受けても慌てないように、日ごろから対策を打ちましょう。
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