令和7年12月、政府は「令和8年度税制改正大綱」を閣議決定しました。
本改正は「物価高への対応」と「強い経済の実現」を基本方針とし、個人所得税から法人税、消費税など幅広い改正が盛り込まれています。
本記事では、中小企業経営者や経理担当者が実務上押さえるべき主要改正項目を、税理士の視点から解説します。
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目次
- [1] 所得税改正~「年収の壁」178万円への引き上げと基礎控除の拡充~
- [2] 住宅ローン減税の延長と拡充~既存住宅・子育て世帯への支援強化~
- [3] NISAの拡充~次世代の資産形成支援~
- [4] 暗号資産取引への分離課税導入~税率20.315%への統一~
- [5] 超高所得者へのミニマム課税の対象拡大~「1億円の壁」解消~
- [6] 超高所得者へのふるさと納税の上限設定~寄附額438万円で上限に到達~
- [7] 防衛増税~防衛特別所得税の導入~
- [8] 青色申告特別控除の見直し~電子申告要件の追加~
- [9] 源泉所得税の見直し~マイカー通勤手当と食事支給~
- [10] 資産税改正~事業承継税制と固定資産税~
- [11] 教育資金の一括贈与非課税措置の終了
- [12] 法人税改正~研究開発税制と設備投資促進税制~
- [13] 賃上げ促進税制の見直し~大企業向け措置の廃止~
- [14] 消費税改正~インボイス制度の経過措置見直し~
- [15] その他の主要改正項目
- おわりに
[1] 所得税改正~「年収の壁」178万円への引き上げと基礎控除の拡充~
制度の概要
所得税の「年収の壁」とは、給与収入がこの水準を超えると所得税の負担が発生し、手取りが減少するボーダーラインを指します。
令和6年までは103万円でしたが、令和7年に160万円に引き上げられ、今回さらに178万円まで引き上げられます。
改正内容詳細
基礎控除の引き上げ
基礎控除は、所得税計算の基礎となる控除額です。今回の改正により、以下のとおり引き上げられます。
・本則部分:58万円から62万円に引き上げ(4万円増)
・特例部分:合計所得金額に応じて、最大42万円(令和8・9年分)を加算
結果として、年収665万円以下の納税者の基礎控除は、最大104万円(本則62万円+特例42万円)となります。
給与所得控除の最低保障額の引き上げ
給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられます。
・本則部分:69万円(4万円増)
・特例部分:5万円(新設)
課税最低限の引き上げ
基礎控除と給与所得控除の引き上げにより、所得税の課税最低限は以下のとおり推移します。
・令和6年以前:103万円(年収103万円まで)
・令和7年:160万円(年収200万円まで)
・令和8・9年:178万円(年収665万円まで)
適用時期
令和8年分以後の所得税に適用されます。令和8年は年末調整で対応し、源泉徴収への反映は令和9年からとなります。
実務上のポイント
・基礎控除の本則部分が62万円に引き上げられることに伴い、配偶者控除・扶養控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除の所得要件も62万円(年収136万円)以下に引き上げられます。
・勤労学生控除の所得要件は89万円(年収163万円)以下に引き上げられます。
・令和10年以後は、消費者物価指数の上昇率に基づいて基礎控除等が自動的に調整される仕組みが導入される予定です。
[2] 住宅ローン減税の延長と拡充~既存住宅・子育て世帯への支援強化~
制度の概要
住宅ローン減税は、住宅ローンの年末残高から一定率(0.7%)を所得税から控除する制度です。令和7年末が適用期限でしたが、今回5年間延長されることが決定しました。
改正内容詳細
適用期限の延長
適用期限が令和12年12月31日まで5年間延長されます。令和8年1月1日から令和12年12月31日に入居した場合に適用可能です。
既存住宅(中古住宅)への支援拡充
省エネ性能の高い既存住宅について、以下の拡充が行われます。
・認定住宅・ZEH水準省エネ住宅:借入限度額を最大4,500万円に引き上げ、控除期間を13年に拡充
・その他の省エネ基準適合住宅:借入限度額を最大3,000万円に引き上げ
子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せ措置
19歳未満の扶養する子のいる世帯、または夫婦いずれかが40歳未満の世帯に対して、借入限度額の上乗せ措置が講じられます。
床面積要件の緩和
床面積要件が50㎡以上から40㎡以上に緩和されます。
ただし、合計所得金額1,000万円超の者及び子育て世帯等への上乗せ措置利用者は50㎡以上のままです。また、既存住宅であっても対象であれば特例の適用を受けることができます。
立地要件の見直し
令和10年以降に入居する新築住宅について、土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害防止区域などの災害レッドゾーンが適用対象外となります。
省エネ基準適合住宅の段階的廃止
令和10年以降に建築確認を受ける新築の省エネ基準適合住宅は適用対象外となります。
ただし、令和9年12月31日以前に建築確認または令和10年6月30日以前に建築された場合は、借入限度額2,000万円、控除期間10年で適用可能です。
適用時期
令和8年1月1日以後に入居した場合から適用されます。
実務上のポイント
・「災害危険区域等」の判定は、自治体のハザードマップではなく、法令に基づく指定区域であることに注意が必要です。
・既存住宅の省エネ性能の確認には、建築士による証明書が必要となります。
・子育て世帯等の上乗せ措置と床面積要件の特例は選択適用となるため、どちらを選択するかの検討が必要です。
[3] NISAの拡充~次世代の資産形成支援~
制度の概要
NISA(少額投資非課税制度)は、一定額の投資から生じた利益に対して税金がかからない制度です。今回、未成年者向けの拡充が行われます。
改正内容詳細
つみたて投資枠の対象年齢拡充
つみたて投資枠の口座開設可能となる対象年齢を18歳以上から0歳までに拡充されます。
【拡充内容】
・対象年齢:0~17歳
・年間投資枠:60万円
・非課税保有限度額:600万円
・非課税保有期間:無制限
つみたて投資枠の対象商品拡充
国内市場への投資を後押しする観点から、対象指数・商品が拡充されます。
・読売株価指数、JPXプライム150指数などの追加
・債券中心(50%超)の商品の追加
払出し制限
12歳以後、子の同意を得て払出しが可能となります。ただし、以下の要件を満たす必要があります。
・資金の使途が子どもの教育費や生活費の支払いのためのものであることを記載した書類
・子どもの同意書
適用時期
令和9年分以後に適用されます。
実務上のポイント
・18歳で自動的に成人用のNISA口座に移行します。
・居住する家屋が災害で全壊した等の事由がある場合は、年齢にかかわらず全額払出しが可能です。
[4] 暗号資産取引への分離課税導入~税率20.315%への統一~
制度の概要
暗号資産(仮想通貨)取引による所得は、現在、総合課税(最大税率55%超)の対象となっています。今回、一定の要件を満たす取引について、分離課税(税率20.315%)が導入されます。
改正内容詳細
分離課税の対象
暗号資産取引業を行う者に対する特定暗号資産の譲渡等が分離課税の対象となります。
・現物取引:申告分離課税
・デリバティブ取引:先物取引に係る雑所得等として扱う
・ETF:一般株式等に係る譲渡所得等として扱う
税率
申告分離課税の税率は約20%(所得税15%+住民税5%)となります。
損失の繰越し
分離課税の対象となった損失は、最大3年間繰り越すことが可能となります。
総合課税の譲渡所得の取扱い
総合課税の対象となる暗号資産の譲渡所得については、以下の措置が適用されません。
・譲渡所得の特別控除(50万円控除)
・長期譲渡所得の1/2課税
・他の総合課税の対象所得との損益通算
適用時期
金融商品取引法の改正日の属する年の翌年1月1日以後に行う特定暗号資産の譲渡等から適用されます。改正法が令和8年中に施行された場合は令和9年1月1日から、令和9年中に施行された場合は令和10年1月1日からの適用となります。
実務上のポイント
・分離課税の対象となる「特定暗号資産」の具体的な銘柄は、今後の金融商品取引法の改正内容により決定されます。
・年3.3億円超の利益が出る場合は、「超高所得者へのミニマム課税」の対象となり、税負担が20%を超える可能性があります。
・暗号資産が出国税(国外転出時課税制度)や相続税の取得費加算の対象になるかについては、確認が必要です。
[5] 超高所得者へのミニマム課税の対象拡大~「1億円の壁」解消~
制度の概要
超高所得者へのミニマム課税は、極めて高い水準の所得に対して、一定の最低税負担を課す制度です。令和7年分から適用されていますが、今回対象が拡大されます。
改正内容詳細
特別控除額の引き下げ
基準所得金額から控除する特別控除額が、3億3,000万円から1億6,500万円に引き下げられます。
税率の引き上げ
ミニマム課税の税率が22.5%から30%に引き上げられます。
計算式
改正後のミニマム課税額は、以下のとおり計算されます。
(基準所得金額-1億6,500万円)×30%
※通常の所得税の計算による税額と上記の差額を納税。
適用時期
令和9年分以後の所得税に適用されます。
実務上のポイント
・事業承継やM&Aによる株式や不動産の売却など、分離課税で所得税率15%の場合、所得3.3億円を超えると追加負担が発生します。
・令和8年と9年で税負担が異なるため、売却タイミングの検討が必要です。
・住民税5%も考慮すると、実質的な税負担率は35%に達する可能性があります。
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[6] 超高所得者へのふるさと納税の上限設定~寄附額438万円で上限に到達~
制度の概要
ふるさと納税制度の健全な運用に向け、超高所得者に対する優遇を制限する措置が導入されます。
改正内容詳細
住民税特例控除額の上限設定
住民税の特例控除額に対して、令和9年寄附分から定額上限193万円が設定されます。
国の試算では、給与年収1億円の単身者の場合、寄附額438万円で上限に到達します。
適用時期
令和9年寄附分から適用されます。
実務上のポイント
・給与だけでなく、事業承継やM&Aによる株式や不動産の売却により、一時的に枠が急増する場合も上限に達する可能性があるので注意が必要です。
[7] 防衛増税~防衛特別所得税の導入~
制度の概要
防衛力の抜本的な強化に係る安定的な財源を確保するため、新たな付加税として防衛特別所得税が導入されます。
改正内容詳細
防衛特別所得税の導入
所得税額に対し、税率1%の新たな付加税として課されます。
復興特別所得税の見直し
足元で家計負担が増加しないよう、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられます。同時に、課税期間が令和19年(2037年)から令和29年(2047年)まで10年間延長されます。
適用時期
令和9年分以後の所得税に適用されます。
実務上のポイント
・防衛特別所得税と復興特別所得税を合わせると、所得税額に対して2.1%(1%+1.1%)の付加税が課されることになります。
[8] 青色申告特別控除の見直し~電子申告要件の追加~
制度の概要
青色申告特別控除は、複式簿記による記帳と青色申告により、所得から一定額を控除できる制度です。税務手続のデジタル化を推進する観点から、見直しが行われます。
改正内容詳細
65万円控除の要件に電子申告を追加
複式簿記による65万円控除を受けるためには、電子申告が要件として追加されます。
75万円控除の新設
以下の要件をすべて満たす場合、75万円控除が適用されます。
・複式簿記による記帳
・電子申告
・優良な電子帳簿の保存または請求書データ等との自動連携のいずれかを行っている
10万円控除の対象者制限
簡易簿記による10万円控除について、前々年の事業所得または不動産所得に係る収入金額が1,000万円超の者は対象外となります。
適用時期
令和9年分以後の所得税に適用されます。
実務上のポイント
・複式簿記で書面申告を選択した場合、控除額は10万円となります。
・収入金額1,000万円超の場合、会計ソフトの導入や税理士への依頼を検討する必要があります。
[9] 源泉所得税の見直し~マイカー通勤手当と食事支給~
制度の概要
従業員に支給する手当や現物給与について、非課税限度額が引き上げられます。
改正内容詳細
マイカー通勤手当の非課税制度の拡充
通勤距離に応じた非課税限度額が引き上げられ、新たに片道65km以上の距離区分が設定されます。
・65km以上75km未満:45,700円
・75km以上85km未満:52,700円
・85km以上95km未満:59,600円
・95km以上:66,400円
また、月5,000円までの駐車場代が非課税限度額に加算されます。
食事支給の非課税限度額の引上げ
企業が従業員に提供する食事(現物支給)の非課税限度額が、月額3,500円から月額7,500円に引き上げられます。
深夜勤務の夜食代に係る非課税限度額も、1食あたり300円から650円に引き上げられます。
適用時期
時期未定です。
実務上のポイント
・食事支給の非課税制度を利用するためには、従業員負担が食事価額の50%以上であることが要件です。
・企業負担が月額7,500円以下であることが要件となります。
[10] 資産税改正~事業承継税制と固定資産税~
制度の概要
中小企業の事業承継を支援するため、事業承継税制の手続期限が延長されます。また、固定資産税の免税点が引き上げられます。
改正内容詳細
事業承継税制の承継計画提出期限の延長
適用期限到来までの間、本税制を最大限活用できるよう、提出期限が延長されます。
・法人版事業承継税制:特例承継計画の提出期限を令和9年9月30日まで1年6か月延長
・個人版事業承継税制:個人事業承継計画の提出期限を令和10年9月30日まで2年6か月延長
固定資産税・不動産取得税の免税点引上げ
物価上昇を踏まえ、以下のとおり免税点が引き上げられます。
・固定資産税:家屋20万円→30万円、償却資産150万円→180万円
※土地については改正なし
・不動産取得税:土地・家屋45万円→116万円
適用時期
固定資産税は令和9年度以後の年度分、不動産取得税は令和8年4月1日以後に適用されます。
実務上のポイント
・事業承継税制の適用期限の延長はなく、大綱では「令和9年度税制改正で結論を得る」と明記されています。
・医業継続に係る納税猶予等の特例措置は3年延長されます。
[11] 教育資金の一括贈与非課税措置の終了
制度の概要
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税非課税措置は、令和8年3月31日をもって終了します。
改正内容詳細
適用期限(令和8年3月31日)を延長しないことが決定されました。令和8年4月1日以降は、新たに信託等を設定することはできません。
適用時期
令和8年3月31日までの贈与に対して適用されます。
実務上のポイント
・すでに信託等を設定している場合は、令和8年3月31日までの間に教育資金として拠出する必要があります。
・令和8年4月1日以降は、教育資金の贈与について、通常の贈与税の計算が適用されます。
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[12] 法人税改正~研究開発税制と設備投資促進税制~
制度の概要
「強い経済」の実現に向け、大胆な設備投資の促進と研究開発の強化に向けた税制措置が創設・拡充されます。
改正内容詳細
特定生産性向上設備等投資促進税制の創設
令和11年3月31日までの間に、以下の基準に適合する設備を取得した場合、即時償却と税額控除(取得価額の7%、建物等は4%)の選択適用ができます。
・投資計画において生産性向上設備等の取得価額の合計額が35億円以上(中小企業者等については5億円以上)
・投資計画における年平均の投資利益率が15%以上
・資産の区分ごとに定められた最低取得価額以上の設備等
税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を上限とし、一定の要件を満たした場合には控除限度超過額は3年間繰り越しができます。
研究開発税制の拡充
AI・量子・半導体・バイオ等の戦略技術領域に係る試験研究費について、新たに「戦略技術領域型」が創設されます。
・税額控除率:試験研究費の40%(産業技術力強化法の重点産業技術共同研究開発機関との共同・委託研究については50%)
・控除限度:当期の法人税額の10%を上限
・繰越し:中小企業及び戦略技術領域型は、控除限度超過額について3年間繰り越し可能
一般試験研究費に係る税額控除制度についても、控除率カーブ及び控除上限の変動措置が見直されます。
適用時期
令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
一般試験研究費に係る控除率等の見直しは令和9年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
実務上のポイント
・特定生産性向上設備等投資促進税制の対象となるためには、経済産業大臣の確認を受ける必要があります。
・研究開発税制の「戦略技術領域型」は、AI・量子・半導体・バイオなど国家戦略上重要な技術分野に限定されます。
[13] 賃上げ促進税制の見直し~大企業向け措置の廃止~
制度の概要
賃上げ促進税制は、従業員の給与を増加させた企業に対して、法人税の税額控除を行う制度です。今回、大企業向け措置が廃止されます。
改正内容詳細
大企業向け措置の廃止
令和8年3月31日をもって、大企業向けの賃上げ促進税制は廃止されます。
中堅企業向け措置の見直し
適用要件・税額控除率が見直された上で、適用期限(令和9年3月31日)をもって廃止されます。
教育訓練費に係る上乗せ措置の廃止
中堅企業及び中小企業向けの措置であった教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止されます。
適用時期
令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
実務上のポイント
・中堅企業向け措置の廃止時期が令和9年3月31日であるため、令和8年度中に適用を受けるかどうかの検討が必要です。
[14] 消費税改正~インボイス制度の経過措置見直し~
制度の概要
インボイス制度の導入に伴う経過措置が見直され、個人事業者向けの新たな特例措置が創設されます。
改正内容詳細
2割特例から3割特例への移行
令和8年9月30日をもって2割特例が終了した後、個人事業者については、納税額を売上税額の3割とすることができる「3割特例」が令和9年及び令和10年分の2年間に限り講じられます。
免税事業者からの仕入れに係る経過措置の見直し
免税事業者からの仕入れに係る経過措置について、最終的な適用期限が2年延長されるとともに、引き下げのペース・幅が緩和されます。
・令和8年10月~令和10年9月:仕入税額控除割合70%
・令和10年10月~令和12年9月:仕入税額控除割合50%
・令和12年10月~令和13年9月:仕入税額控除割合30%
免税事業者ごとの年間適用上限仕入額の引き下げ
免税事業者ごとの年間適用上限仕入額が10億円から1億円に引き下げられます。
適用時期
令和8年10月1日以後に適用されます。
実務上のポイント
・3割特例の適用を受けるためには、事前の届出は不要です。
・免税事業者との取引が多額となる事業者は、適用上限に達しないか、取引免税事業者ごとに取引金額の確認が必要となる可能性があります。
[15] その他の主要改正項目
中小企業の少額減価償却資産特例の拡充
物価上昇を踏まえ、対象となる減価償却資産の取得価額が30万円未満から40万円未満に引き上げられます。適用期限も3年間延長されます。ただし、年間の限度額は改正がなく、年300万円までとなります。
特定事業用資産の買換え特例の延長
長期保有土地等の譲渡益を活用した事業再編や新たな国内設備投資を喚起するため、適用期限が令和11年3月31日まで3年延長されます。
医業継続に係る納税猶予等の特例措置の延長
持分なし医療法人への移行を促進するため、相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置が3年延長されます。
国境を越えた電子商取引の消費課税の適正化
国外事業者による電子サービスの提供に対する消費税の課税が適正化されます。
おわりに
令和8年度税制改正大綱は、「物価高への対応」と「強い経済の実現」という基本方針の下、個人から法人まで幅広い改正が盛り込まれています。特に「年収の壁」の引き上げや基礎控除の拡充は、多くの中小企業の従業員や経営者に直結する改正です。
また、事業承継税制の手続期限延長や研究開発税制の拡充など、中小企業の成長を支援する施策も充実しています。
一方で、超高所得者へのミニマム課税の対象拡大やふるさと納税の上限設定など、税負担の公平性を確保する施策も講じられています。
本改正の詳細については、今後、各府省庁から通達や指針が発表される予定です。実務上の対応については、税理士等の専門家に相談することをお勧めします。

