毎年12月に税制改正大綱が公表されます。それに先立ち、各省庁から税制改正の要望が提出されます。今回は、令和4年度税制改正の要望で注目されているポイントをまとめました。令和4年では、どのような税制が注目されているのか、詳しくみていきましょう。
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>>令和4年度 税制改正大綱をわかりやすくまとめました
目次
交際費の課税の特例の延長
要望の内容
(1) 制度概要
交際費の課税の特例とは、中小法人が支出した交際費等について、定額控除限度額(800万円)までの損金算入を認める措置のことです。
(2)要望事項
適用期限を2年延長する。
令和4年4月1日~令和6年3月31日(2年間)
スピンオフの実施の円滑化のための税制措置の拡充
要望の内容
事業切り出しの手法の一つであるスピンオフについて、段階的に事業を切り出そうとする企業などが活用できるよう、一部持ち分を残したスピンオフや完全子会社以外のスピンオフについても円滑な実施を可能とするための税制措置を講ずるという要望が出されました。
現行のスピンオフ税制は、法人が特定事業又は完全子会社を切り出して資本関係を完全に解消する場合のみが税制適格とされているが、日本では事業の切出しを段階的に行うことが一般的に行われていることや、上場子会社については利益相反の課題が強く意識されるようになっていること等を踏まえ、事業切出しの選択肢を増やし、企業価値向上に向けた事業再編の促進の観点から、スピンオフ税制の拡充が必要とされています。
経済環境等の変化に対応するための中小企業のデジタル化の促進に資する税制上の所要の措置
要望の内容
ウィズコロナ/ポストコロナ社会においては、「新たな日常」に対応していくことが必要であり、テレワークの普及やビジネスのオンライン化が進む中で、中小企業についてもデジタル化に対応していくことが求められる。そこで、経済環境等変化に対応するための中小企業のデジタル化を促進するため、必要な税制措置を講ずるという要望が出されました。
現行制度では、中小企業経営化税制において、「デジタル化設備(C類型)」の税制優遇制度などがあるが、今後このような制度がさらに拡充されるのではないでしょうか。
完全子会社株式等の配当に係る源泉所得税の見直し
要望の内容
事業者等の負担を軽減する観点から、完全子法人株式等及び関連法人株式等の配当に係る源泉徴収を不適用とする要望が出されました。
100%のグループ関係にある完全子法人から親法人が配当を受ける場合など、その配当の支払時に源泉徴収が行われるが、源泉徴収された所得税等は、親法人の確定申告において税控除され、還付金の支払等が行われる仕組みとなっている。
一方で、完全子法人からの配当については、親法人の法人税の算定にあたり、全額を益金不算入とすることが認められており、法人税が課されないにもかかわらず、源泉徴収の対象としていることについて、効率性、有効性等を高める検討を行うべきとの指摘があります。
金融所得課税の一体化
要望の内容
「金融所得が税の一体化」に向けて、投資家が多用な金融商品に投資しやすい環境を整備する観点から、(1)損益通算の範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大すること。(2)損益通算範囲の拡大に当たっては、特定口座を最大限活用すること。などの税制上の措置等を講ずるという要望が出されました。
特に、令和3年度税制改正大綱を踏まえ、有価証券市場デリバティブ取引を損益通算の対象に追加することや、特定口座での損益通算を可能とすることの早期実現が求められています。
まとめ
今回は、令和4年税制改正の要望で注目されているポイントをご紹介しました。要望に目を通すだけでも、今の税制や課題点が良く分かります。さらに、岸田政権が強化を打ち出す「所得拡大促進税制(賃上げ税制)」についても、今後注目してみていきたいですね。
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〈参考サイト〉
【財務省】令和4年度税制改正要望 https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2022/request/index.htm
ブログ監修 TOMA税理士法人
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 法人経営支援部
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