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決算対策をわかりやすく専門家が解説します。決算の基本から決算予測の立て方、節税方法まで詳しく紹介

記事作成日2022/08/16 最終更新日2022/08/26

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決算と耳にすると、皆様どのような印象を持たれるでしょうか。決算期は忙しい、決算対策は難しそうといった印象の他、そもそも決算とは一体何か、決算の目的とは何か考える方もいらっしゃるかと思われます。そこで本ブログでは、決算とは何かといった定義から、決算予測の立て方など具体的な例を交えてご紹介していきます。

また、決算対策については、決算対策を成功させる秘訣は?“良い決算書”をつくるための4つのポイントにてご紹介しておりますので、こちらも併せてご覧ください。

決算とは

決算とは?なぜ必要?

決算とは、会社の財政状態や経営状況を把握するために、一定期間ごとに行われる会計処理のことです。通常決算といえば、一年に一度行うものを指しますが、会社の経営状況を詳細に分析するために、四半期、月毎に行われることもあります。また、それぞれ年次決算、四半期決算、月次決算と区別して呼ぶこともあります。

では、決算を行わなくとも会社の状態を把握できるのであれば、決算は必要ないのでしょうか。もちろん、そのようなことは決してありません。決算では決算書を作成しますが、決算書は開示の義務があります。

例)銀行から借入をする場合は決算書の開示が必要です。もし、本当は大量の負債を抱えているにも関わらず、「利益が出ているので返済できます」という言葉のみを信じ貸し付けた場合、銀行側は不利益を被るからです。

その他、法人税や所得税の確定申告書と一緒に税務署へ提出、株主に対する業績報告や税務署の税務調査等でも開示の義務があります。いずれも適正に作成された決算書、ひいては決算が必要不可欠です。

決算と確定申告の違い

確定申告とは、①決算によって確定した売上高、仕入高、利益等から収めるべき税額を算出、②算出した税額を税務署に申告し確定させる、③確定した税額を納付する、という一連の手続きのことです。
★余裕をもった申告をおすすめします

※申告・納付の期限等については、国税局のHPから確認できます。>>国税局 申告と納税

決算予測の立て方

決算期の考え方

決算期の考え方のポイントを4つご紹介いたします。

(1)業績の急激な変動月は避ける
年末年始や新年度(3月・4月)、クリスマスシーズンなど、業界によって売上が多い月、少ない月があります。売上が急増するシーズンに決算期が重なると、売上・経費・在庫の予想が立てにくいため、決算期を業績の急激な変動月と同じ月にするのは避けるべきです。

(2)決算対策・納税等における資金需要を考慮
毎年大きな費用を計上する月と納税する月が同じになってしまうと、その月の資金繰りに影響する可能性があります。納税が他の支出と重ならないような決算月の設定を考えることも必要です。

(3)決算書を良くする(決算月末の現金・預金残高が重要)
銀行は年間の資金運用を見て信用できるかを判断しているわけではなく、決算書で判断、つまり決算月の現預金残高を見ています。毎年資金が少ない月を決算月にすると借入が不利に働くため、注意しましょう。

(4)日常経理・営業等業務の忙しい時期を避ける
繁忙期に決算作業月があると、日常業務に支障をきたす可能性があります。また、決算にかかる業務上のミスを防ぐためにも、繁忙期は避けるべきです。

決算予測の立て方

納税額の予測をするために、決算予測を立てることをおすすめします。

決算予測の立て方

売上の見込みを中心にご説明します。

例)決算月が12月で、9月分から予測をする場合です。

・1月から8月までの8カ月で売上額は8,000千円ですので、単月平均は1,000千円です。

・売上が多い月と少ない月は業種によっても異なりますので、売上は各社の予測を1カ月ずつ個別に入れてください。単月平均は1,000千円のため、平均がおよそ1,000千円になるように調整します。(売上げに季節変動がある業種などは、この限りではありません。)

1カ月ごとに予測と実績の差異を確認し、都度予測表は確認と更新を行いましょう。

節税はなぜ必要か

節税とは?

節税とは、租税法規が予定しているところに従って税負担の減少を図る行為のことです。原則として合法的なものであり、税務上も何ら問題とされるべきものではありません。

脱税は偽りまたは不正によって税負担を免れる行為です。節税とは全く異なります。

節税の方法

節税には4つの種類があります。

NG行為:以下はいずれも重加算税の対象となります。
(1)架空経費の計上(外注費や人件費)
(2)在庫横流し
(3)帳簿書類の改ざん
(4)簿外資産による所得の未計上
(5)使途秘匿金:法人がした金銭の支出のうち、相当の理由がなく、その相手方の氏名または名称および住所または所在地ならびにその支出事由をその法人の帳簿書類に記載していないもの

決算対策!具体的な節税方法

(1)未払金・未払費用を今期計上

今期中に発生した費用は、支払いが翌期であっても、決算できちんと費用計上すること で、利益を抑えることに繋がります。企業会計原則において、販売費・一般管理費は発生主義により費用を認識し、計上されます。それに対して、法人税法においては債務確定基準を採ります。

・債務確定基準とは?

各事業年度の所得の金額の計算上、その事業年度の損金の額に算入される金額は、別段の定めのあるものを除き、売上原価等の額、販売費、一般管理費その他の費用の額、損失の額とされています。これを「債務確定基準」といいます。

「販売費、一般管理費その他の費用」については、その事業年度の販売費、一般管理費その他の費用のうち、償却費以外の費用でその事業年度終了の日までに債務が確定しているものに限られています。

この償却費以外の費用でその事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件のすべてに該当するものをいいます。

1.その事業年度終了の日までにその費用に係る債務が成立していること。
2.その事業年度終了の日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
3.その事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

・決算賞与の未払計上

支給予定日が到来している賞与・翌事業年度1月以内支払賞与であれば当事業年度で未払計上できます。
※注意※
賃金規定に「賞与支給日当日に在籍していない者には支給しない」の文言があると債務確定ではありません。→全員分の賞与が未払計上不可

(2)特別償却と繰戻還付の活用

・特別償却とは?

法人が特定の資産を取得して、事業の用に供した場合の減価償却について、通常の普通償却(減価償却)のほかに認められる、特別な減価償却制度です。

例)中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制
特別償却を行うことで、活用年度は減価償却費を多額に計上でき、利益の圧縮が可能です。ただし翌期以降は償却費が少なくなるので、計画的に行うことが大切です。

・欠損金の繰戻還付とは?

欠損金が生じた場合において、その欠損金を欠損金が生じた事業年度の前事業年度に繰戻して、前事業年度において納付した法人税の還付を求めることができる制度です。
適用対象法人:資本金が一億円以下の中小法人・協同組合公益法人等
※注意※
・資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がある普通法人等については適用不可
・清算中に終了する事業年度や解散等の場合の還付請求の特例がある欠損金については資本金1億円超の中小法人でも適用可能・青色申告書を提出する宗教法人、医療法人も適用可能

・特別償却と繰戻還付の活用例

例)中小企業者X社は前事業年度の課税所得が2,500万円でした。
当事業年度に特別償却を行い、結果1,000万円の赤字(欠損金)が生じました
→当期1,000万円の赤字を昨年度の利益と相殺し、結果、昨年度の確定法人税額のうち、約205万円の還付を受けることが可能となります。

参考文献:
No.5387 販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定
No.5350 使用人賞与の損金算入時期

赤字企業の決算対策

赤字企業とは?

そもそも赤字企業とはどのような状態の企業でしょうか。赤字企業とは、収入(売上)よりも支出(コスト)が上回っているマイナス収支の経営状態である企業のことです。 日本は10年以上前から、企業全体の約7割が赤字企業であるといわれています。大半を占める赤字企業が決算に向けてどのような対策をすれば、利益を上げることができるのでしょうか。

赤字企業が利益を上げるには?

1. 決算上の組換え

まず紹介するのは、決算上の勘定科目の組み替えです。赤字になりそうな企業でもなんとか黒字にしたい方や、銀行からの借り入れを検討しているので決算内容をよくしたいという方におすすめの方法です。

退職金を例に挙げます。例えば、退職金を1億円今期計上すると営業利益がマイナスになってしまう企業があるとします。その時、退職金を「販売費及び一般管理費」に計上すると、営業利益がマイナスになってしまい、決算書の内容が悪く見えてしまいます。ですが、「特別損失」として計上すれば、営業利益や経常利益には影響しないので、決算内容が良くみられます。

このように、計上する勘定科目の組み替えをすることで、決算書の内容をよくすることができます。

2. 費用を減らす

2つ目の方法として、費用を減らして利益を上げるというものがあります。今回は具体的な例を3つ挙げて紹介したいと思います。

1つ目は、繰延資産の償却をしないことです。会社法上の繰延資産は随時償却が可能であるため、償却してもしなくても問題ありません。そのため繰延資産償却費という費用を抑えるために、今期は償却をしないという選択をすることで利益アップが見込まれます。

2つ目は、短期前払費用を全額費用計上するのではなく、当期に対応する部分のみ費用として処理することで費用を抑え利益アップが見込まれます。

3つ目は、役員からの借入金を無利息にすることで支払利息が抑えられ、利益アップが見込まれます。このように、費用を抑えられる方法は多くあるため、全体的に費用が多い企業はこのような対策を試してみてはいかがでしょうか。

3. 引当金の戻入れ

引当金とは、将来の支出に備えてあらかじめ準備しておく見積金額のことですが、経営環境を踏まえて不要であると判断した場合、引当金を戻入れることができます。戻入れ金額は、貸倒引当金戻入益という科目になり、営業外収益や特別利益として計上されるため、利益アップが見込まれます。

4. 欠損填補による均等割削減

平成27年度税制改正により、平成27年4月1日以後に開始する事業年度に適用される法人住民税の均等割りの税率区分の基準となる資本金等の額が改正されました。この改正により、欠損填補に充てる無償減資などで、均等割の税額を抑えることが可能となりました。

まず、均等割や無償減資・欠損填補とは何でしょうか。均等割とは利益の有無にかかわらずその都道府県、もしくは市区町村に事務所を置いているだけで負担しなければならない税金のことです。その額の判定は資本金の額によって決まります。無償融資とは、帳簿上のみ資本金を減らす減資のことです。そして欠損填補とは、欠損を解消するために、資本金や資本準備金をその他資本剰余金に振り替えたりすることです。

例えば、東京都に従業員数50人、資本金1100万円、欠損金200万円の赤字企業があったとします。その場合の均等割額は18万円です。しかし、赤字企業であるため200万円の欠損填補を行い資本金額が帳簿上900万円になった場合、均等割額は7万円となるため、11万円の減額ができることになります。

このように、欠損金がある赤字企業は資本金額を帳簿上減額することで均等割額も削減できるのです。

【東京都の均等割額】

【欠損填補に充てる無償減資の概要】

まとめ

決算対策は節税対策だけではなく、事前に業績の予測をすることでどのような対策をすればよいかを選択することができます。まずは今期の業績予測を立てることからはじめ、対策に申請等の時間がかかるものがあれば優先順位をつけて対策することが大切です。

決算対策でお悩みならTOMA税理士法人までご相談ください。初回のご相談は無料で承ります。お気軽にお問い合わせください。

監修 TOMA税理士法人

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 法人経営支援部

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