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予期せぬ赤字決算の応急処置と予防策

記事作成日2020/09/15 最終更新日2020/09/15

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 新型コロナの影響による業績悪化を数多く目の当たりにし、とても心が痛みます。経営者の皆様の中には、今後の借入などを見据え、少しでも決算内容を良くしたいと思われている方も少なくないのではないでしょうか。今回は赤字決算を迎えた際の応急処置と、予防策の一部をご紹介します。

費用計上を少なくして利益増

(1)減価償却資産

〈30万円未満の減価償却資産〉
中小企業者等が取得原価30万円未満の減価償却資産の全額を費用処理している場合には、資産計上することで利益が増額します。

〈減価償却資産購入時の租税公課等〉
自動車税や不動産取得税などは不動産の取得時に費用として処理できますが、該当の資産科目に振り替えることで利益が増額します。

(2)短期前払費用

短期前払費用の特例が使える費用の前払いがある場合、当期に対応する部分のみを費用として処理することで利益増を実現できます。

収益計上を増やして利益増

(1)売上の計上基準の変更

出荷基準や受託者販売日基準を採用し、売上計上のサイクルを早めるのも、その年度に限り、効果を期待できます。

(2)含み益の実現

保有する土地や有価証券等の資産の時価が帳簿価格を上回る場合、それらを売却することで含み益を実現すれば、利益が増額します。

利益計画・経営計画の策定は必須

 ご紹介した方法のほとんどは経営状況の改善策ではなく、その年度限定で赤字を黒字に近づけるための緊急対応策に過ぎないため、本来であれば採用したくないものです。このような策を講じざるを得なくなる原因の1つに、決算の着地予想の不明瞭さが挙げられます。着地予想が明確になれば、事前に抜本的な対策を打つこともでき、状況に応じて概ね望み通りの決算を組むことが可能になります。

 今般の新型コロナの影響により、外部要因が目まぐるしく変動しています。だからこそ、利益計画を作成することで企業の未来の在り方を数値で表現し、具体的な行動計画に落とし込むことの重要性が高まっているのです。

 経営計画や決算対策でお悩みの際は、ぜひお気軽にTOMAまでご相談ください。