平成30年度税制改正により、一般社団法人等に関する相続税・贈与税が見直され、平成30年4月から適用されます。
◆「一般社団法人等」とは?
一般社団法人等とは、一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人等、非営利型法人その他一定の法人を除く)を言います。
◆改正前の制度概要
一般社団法人等は持分がない法人であるため、一般社団法人等に財産を移した後に相続が開始しても、相続税は課税されません。
◆改正の背景
上記特性を利用し、親が一般社団法人等を設立し、親の資産をその一般社団法人等に移転させてから、子に代表を継がせることで、課税を免れるスキームが散見されていたことから、今回の改正となりました。
◆平成30年度税制改正
今回の改正により、要件が厳格化され、次に掲げる要件を満たす『特定一般社団法人等』に相続税が課税されることとなります。
<要件>
(1) 特定一般社団法人等に該当すること。
(2) 特定一般社団法人等の理事(理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む)が死亡した場合。
※ 特定一般社団法人等とは、次に掲げる要件を満たす一般社団法人等を言います。
●相続開始の直前における同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超えること。
●相続開始前5年以内に、同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。
<相続税の計算>
(1) 特定一般社団法人等の純資産価額を死亡時の同族理事(被相続人を含む)の数で除した金額に相続税が課税されます。
※ 相続税額の2割加算の対象となります。
(2) 上記(1)の相続税額から、すでに課税された贈与税額等を控除。
※ 同族役員とは、一般社団法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等以内の親族その他当該被相続人と特殊の関係がある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)を言います。
◆適用時期
原則:平成30年4月1日以後設立の一般社団法人等の役員の死亡に適用されます。
経過措置:すでに設立されている一般社団法人等については、平成33年4月1日以後の相続から適用されます。