時間をお金で買う
「時間をお金で買う」と聞くと、耳触りの良い言葉ではないかも知れません。競争優位を実現する有効策としてM&Aの選択が増えています。
●「買う側」のメリット
範囲拡大・領域拡大に伴うリスク軽減を短期に実現出来る。
●「売る側」のメリット
既存資源を有効活用する信用力と資金力を得る事が出来る。
○「買う側」のデメリット
異なる文化や資源の融合が上手くいかず事業計画が進まない。
○「売る側」のデメリット
社風・環境・待遇の急激な変化がモチベーション低下を生む。
成立ではなく成功をゴールに。
M&Aの有効性が認識されつつあるにも関わらず、少なからずマイナスイメージも拭えない。これは、実行結果としてデメリット先行の事象が多いと言う事実にも依ると思われます。
昨今M&Aの場で、成立後、如何に統合効果を生み出すか、という点がクローズアップされています。異なる文化の人と企業。統合課題は多岐に渡りますが、大きく分けてポイントは3つあります。
(1)戦略レベルの問題
・何をしている企業を買ったか。何を目指す企業に買われたか。
企業経営の根幹に関わるポイントです。新体制の中で、改めて戦略を見つめ直さなければ、「相乗」効果は生み出せません。
(2)業務レベルの問題
・どの業務を生かし、どの業務を削減し、どう摺り合わせるか。
人が増え、規模が拡大する分、リスク発生確率も上がります。そこを統制し効率化出来てこそ、コストパフォーマンスの向上が見込めます。ルーティン業務を極小まで細分化し再構築する必要があり、想像しているより難度の高い作業になります。
(3)人心レベルの問題
・数字に現れにくいのですが、企業を動かすのは結局は人です。
「旧○○の人間、元▲▲の人間」こんな言葉が、合併後の企業の中では中々なくなりません。表向き上手くやろうと思っても業務の前に、人心の壁を取り除かなければ何も前に進みません。
本来これらを検討せずして、企業と企業の統合が成功する訳は無いのです。成立が終わりではありません。成立後、何を創造出来るのか? M&Aを本当の成功に結び付けたいものです。