BLOG

専門家によるブログ

事業承継ブログ

社長を退任後、その役職は?

記事作成日2018/08/17 最終更新日2023/09/04

X
facebook
copy

そもそも「社長」って、何?

社長とは

社長とは、会社で一番地位の高い人であり、会社のことを決め、会社の代表として対外的な業務を行う最高責任者です。もちろん、その考えかたで間違っていません。世間一般の認識として、社長とはそういうものです。では、法律上もそのように定められているのでしょうか?

実は、「社長」という役職名は、法律で定められたものではありません。株式会社のルールを定めているのは主に会社法ですが、その中で会社の代表として定められているのは「取締役」「代表取締役」のみです。(この他に、「執行役」「代表執行役」というものもありますが、あまり一般的ではないため割愛します。)

社長を退任したら、会長になる?

「社長」という役職名自体が法律で定められたものではない以上、当然ですが『社長を退任した者の役職は〇〇とする』といった決まりもありません。日本の会社の風習として『係長の上は課長、課長の上は部長、部長の上は・・・』と定めている会社は多いですが、それとほぼ同じレベルで『社長を退任した者は会長とする』と定めている場合が多いのです。

会長を名乗るとき、注意すべきことは?

では、役職を自由に名乗ってもいいのかというとそうでもなく、注意すべき点もあります。例えば、会社の「代表権」について、以下のような規定があります。

(会社法 第354条)
株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。

言い換えると、『会社として、その代表を名乗らせた者が行った行為については、会社がその責任を持ちなさい』ということです。「その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称」に「会長」が含まれるかどうかは難しいところですが、含まれるという説も有力であるとされています。

そのため、会長を名乗る際は、まず『代表権を持つのか持たないのか』をきちんと決めておくこと、それから、そのことを対外的に明示しておくことが重要となります。よくニュースに流れている『〇〇会社の社長、退任して代表権のない会長になる』というのは、このようなことが背景にあります。

会社の「代表権」とは?

会社は法律で人として定められた存在です(これを「法人」といいます)。しかし、当然ですが会社自体には実体も思考能力もありません。実際に意思決定をし、対外的に取引をするのはそこに属している人間です。では、会社に所属している人間全員が対外的な取引を行うかというとそうではなく、実際は社長や副社長などが会社を代表して取引をします。

この、『会社の代表として、対外的に取引をする権限』を「代表権」と呼びます。代表権を持つ者が会社の代表として取引をした場合、その責任は会社が負うことになりますので、誰が会社の代表権を持っているのかを明示しておくことはとても重要です。

最後に

事業承継にはさまざまな不安がつきまといます。後継者のためを思って会社に残ったものの、かえって話をややこしくしてしまうという可能性もあります。そうならないためにも、退任後、自身がどのような立ち位置で会社に関与していくのか、明確にしておくことが大切であると言えます。

TOMAコンサルタンツグループでは事業承継のあらゆるスキームを知りつくした専門家による事業承継対策サービスで、ヒト・モノ・コトの円満な承継をサポートします。サービスの詳細はこちらよりご確認頂けます。

監修 TOMAコンサルタンツグループ コーポレートアドバイザリー部

初めての方 閉じる