2016年もあと少しで終わりますが、皆様は今年の一年を振り返っていかがでしたでしょうか?
世間の出来事としては日本が史上最多のメダル41個を獲得したリオ オリンピックやアメリカ大統領選でのドナルド・トランプ氏の当選などさまざまな出来事がありました。また年末年始にはクリスマス、忘年会、新年会など様々なイベントがあり気分的にもワクワクしますね。
今回はそんな年末年始のイベントに関する税務の取扱いがどうなっているのかをご紹介したいと思います。
クリスマスプレゼントって課税されるの?
クリスマスでは、親が子供に、または恋人同士でプレゼントを贈るのが日常化されています。そんなクリスマスプレゼントは税務上の観点からは贈与の対象となるのかどうかが論点となります。
結論としては贈与に当たります。しかしクリスマスプレゼントは社交上必要と認められる祝物にあたり、社会通念上相当と認められるものについては、贈与税が課税されないことになっています(相基通21の3-9)。
ここでいう『社会通念上相当』と認められるものについては、明確な基準はありませんが、一般的なクリスマスプレゼントとあまりに乖離した金額のプレゼント(例えば、家や車など)を贈与すると贈与税が課税される恐れがあります。
宝くじに当選した場合の当選金って課税されるの?
毎年年末になると年末ジャンボ宝くじを購入するために朝から長蛇の列が出来ているニュースを見ます。皆様も一回は購入されたことがあるのではないでしょうか?そんな宝くじの当選金は法律上の観点からは課税対象となるのかどうかが論点となります。
結論として宝くじの当選金は非課税となります。これは当せん金付証票法によって、所得税が課税されないこととなっているからです(当せん金付証票法第13条)。ただし、宝くじの当選金を複数人で分ける場合に特定の一人が当選金を受け取り他の人に分配した場合には、分配を受けた人に対して贈与税が課税されるので注意しましょう。この場合、当選金を受け取る際に分配人全員の名義で受け取ると贈与税が課税されません。
忘年会・新年会での経費の税務上の取扱いは?
年末年始には忘年会・新年会が行われる会社が多いと思われます。この忘年会・新年会で支出する経費については税務上の取扱いがどのようになるのかをご説明します。基本的に忘年会や新年会で会社が支出する費用は、その会の趣旨や参加者によって取扱いが大きく異なり、
(1)福利厚生費として損金算入が認められる場合
(2)交際費として全部又は一部が損金不算入される場合
(3)社員に対する給与とされる場合
の3パターンが想定されます。
一般的には(1)の場合に該当することが多いと考えられます。そもそも福利厚生費の要件は
1.全社員を対象としていること
2.会社の費用負担が一律であること
3.会社が負担する金額が社会通念上高額にならないこと
の3要件を満たすこととされています。したがって、忘年会・新年会でこの3要件を満たせば、福利厚生費として損金の額に算入することができます。
次に(2)の場合は、取引先を接待する目的で開催される忘年会・新年会費用が交際費に該当することになります。交際費は仕入先や得意先等に対して接待等の目的で支出する費用をいい、全部又は一部が損金不算入されます。
(3)の場合は、特定の者だけが参加する忘年会・新年会費用が給与(賞与)に該当することになります。これは参加者の個人的な費用を法人が負担している場合であり、この参加者の中に役員が含まれていると役員賞与になり、対象役員の賞与の全額が損金不算入となるので注意が必要です。
まとめ
今回は年末年始の行事に対する税務の取扱いについてご説明させていただきましたが、税務は取引の形式にとらわれず、一つ一つの取引の実態を見極めた上で取り扱わねばなりません。ちょっとしたことで取扱いが大きく変わることがあるので取引の実態を意識してほしいと思います。そうすることで会計・税務の取扱いに興味をもって頂けたら幸いです。