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非常用食料品の備蓄とLEDランプへの取替における税務上の取扱い

記事作成日2017/11/17 最終更新日2018/01/05

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 今回は、東日本大震災以降、企業の災害時に対する備えが高まっている観点から非常用食料品の税務上の取扱いと地球温暖化対策や節電の観点から進んでいるLEDランプへの取替における税務上の取扱いについて説明します。

非常用食料品の取扱い

 地震などの災害時のために非常用食品を備蓄している会社は少なくありません。非常用食品は有事のため備え、消費される食品であるため、賞味期限が長く、保存性に優れた食品であることが特徴です。
 この観点から税務上の取扱いを考えると、会社が非常用食品の購入代金をどの時点で損金の額に算入するかが問題となります。
 法人税法上は、備蓄時に損金の額に算入されます。
 理由としては、食料品は繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性があり、保存期間が長期間に及ぶものであるとしても食料品は減価償却資産又は繰延資産には該当しません。また、災害時用の非常食については、備蓄することをもって事業の用に供したと認められるためです。なお、類似物品である消火器の中身は取替え時の損金として取り扱っていることも理由に含まれています。

自社の蛍光灯をLEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱い

 LED照明は、低消費電力で長寿命が特徴であり、現在、LED照明が主力光源となっています。
 法人税法上の論点となるのが、LEDランプへの取替費用が資本的支出となるのか、それとも修繕費となるのかの判定です。
 法人税法上、資本的支出とは、修理・改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の使用可能期間を延長させ、又は価値を増加させる部分の金額をいいます。
 修繕費は、固定資産の修理・改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の通常の維持管理のため、又は原状回復するために要したと認められる部分の金額をいいます。
 今回のLEDランプへの取替費用に当てはめると、蛍光灯からLEDランプへの変更により、消費電力の削減や寿命が長くなるといった取替メリットがあり、固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増しているとして資本的支出に該当すると考えられますが、あくまでLEDランプの部品としての性能が高まっただけであり、LEDランプを装着するための照明設備である建物付属設備としての価値等が高まったとまではいえないと考えられるため、結果として、修繕費として損金の額に算入されます。

 

今回、取り上げた取扱いは簡単に判断できそうですが、よく考えてみると実は色々な要素が含まれており、結果に行き着くまでの過程が複雑です。読者の方々も是非、取扱いの結果だけではなく、そこに行き着くまでの過程を追ってみてはいかがでしょうか。