7月初旬、国税庁から平成29年分の路線価図が公開されました。この路線価は、一般的に相続税や贈与税の対象となる財産を評価する場合に適用します。
路線価とは
路線価は、国税局長が路線ごとに評定した1㎡当たりの価格です。土地の相続税評価額は、その土地の面積に路線価と画地調整率を乗じて算出します。画地調整率は、その土地の形状や利便性などを考慮して評価するためのものです。この計算式から分かるように路線価が高くなれば当然、土地の評価額も高くなります。
また、地方などでは路線価が設定されていない地域もあり、その場合は、倍率方式という方法で評価することとされています。倍率方式による評価は、その土地の固定資産税評価額に評価倍率を乗じて算出します。この評価倍率も、国税庁から路線価図と同時に公開されています。
路線価図を確認し、自分が所有する土地の評価額がいくらくらいになるかを大まかに把握しておくことは、将来発生する相続への備えとして有効です。
株価への影響
都心部の路線価はここ数年、上昇傾向にあります。該当地域に土地を所有している個人や企業にとって、財産の価値が上がることは喜ばしいことばかりではありません。路線価は法人の株価にも影響を与える可能性があります。取引相場のない株式の評価は、類似業種比準方式と純資産価額方式によって評価することとされています。
この純資産価額方式で計算をする場合、会社が所有する資産を時価評価する必要があるため、路線価を用いて会社所有の不動産の評価がなされます。つまり、非上場株式の評価は路線価の影響を受けるということです(会社の規模等によってはこの限りでない場合があります)。結果として、不動産を所有している会社は、路線価の上昇に応じて、株価も上昇することとなります。
株価が高くなれば、相続や事業承継などに影響を与えることになってしまいます。円滑な事業承継を行うためにも、路線価が公開されたこの時期に、株価を算定し、将来の相続や事業承継に備えてみませんか。
こうした株価の算定や対策についても、お気軽にお問い合わせください。