仮想通貨の根幹を担う大切な技術に「ブロックチェーン」があります。ブロックチェーン技術はノーベル賞が期待されるほどの革新的技術で、その有用性から今後訪れるAIやIoTといった第4次産業革命においても大きな役割を果たすとみられていますが、ブロックチェーン技術とはどのような技術なのでしょうか。
目次
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンの誕生は、2008年のサトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)氏が執筆した、いわゆる「ナカモト論文」をきっかけに生まれた考え方で、その論文の内容、つまりビットコインを実現するための技術として登場したのがブロックチェーンです。(出典:杉井靖典著「いちばんやさしいブロックチェーンの教本」)
簡単にいうと情報のコピーを困難にすることで、情報に価値を持たせることができるようにする技術です。従来のデータ管理が1か所のサーバで一括管理していたのに対して、ブロックチェーン技術は皆で監視しあう分散型のシステムと言えます。(※注:論文の執筆者であるサトシ・ナカモト氏の正体は現時点でも分かっておらず、複数人という説もあります)
この分散型ネットワーク(ブロックチェーン)の技術を使った応用事例もたくさんありますので、次にその一部をご紹介していきます。
ブロックチェーン技術の活用事例
金融機関
三井住友銀行やりそな銀行などの金融機関が、米リップル社のブロックチェーン技術を活用し韓国の大手銀行と送金実験を始めています。複数の参加者が取引履歴を共有し認証しあうブロックチェーン技術を活用することで、コストを30%近く削減し、即日で海外送金ができることが見込まれています。(出典:日本経済新聞 2017年12月12日)
保険
メキシコのモバイル決済プラットフォームのSaldoは、ブロックチェーンベースの生命保険などの各種保険の契約を行うことができるマイクロ保険サービス「Consuelo」を発表しました。この形態の保険では、中間業者や保険金調査担当者を排除することができます。 (出典:Nir Kshetri著「ブロックチェーン技術は世界の貧困層を救うか?」)
電力
電力での応用では、みんな電力(東京都世田谷区)がAerial Lab Industries(東京都港区)と共同で、ブロックチェーン技術を活用した個人間で電力の取引が行えるプラットフォームの開発を開始しています。(出典:みんな電力株式会社 2018年2月28日プレスリリース)
ブロックチェーン市場の規模、動向
ブロックチェーン関連ソリューションの市場規模は、2016年~2021年まで年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)133.0%で伸び、2021年には298億円に達すると予測されています。(出典:IDC Japan「国内ブロックチェーン関連ソリューション市場 支出額予測:2016年~2021年」)
現状は実用化に向けた課題も多いですが、研究や実証実験は国内外で急速に進んでいます。ブロックチェーンは常識を大きく変える可能性を秘めた技術であり、数年後には社会環境は激変しているかもしれません。
ブロックチェーン関連企業の直近のM&A動向
多くの企業がブロックチェーンのテクノロジとその特徴やメリットの理解に苦慮している状況を踏まえると、短時間でのキャッチアップは難しく、体験を重ねなければ理解も進みません。そこで、ブロックチェーン技術の知見を獲得するべく、M&Aを行う会社も増えてきております。下記にその実例の一部をご紹介します。
Spotify/音楽サービス
ブロックチェーンの新興企業Mediachainを買収。(出典:Spotify Technology S.A 2017年4月26日プレスリリース)
クラウドワークス/クラウドソーシングサービス
ブロックチェーンテクノロジー(分散型台帳技術)を利用したシステムの開発、コンサルティング事業を積極的に展開する電縁を買収。(出典:クラウドワークス株式会社 2017年11月16日プレスリリース)
東京ガス/電気・ガス業
ブロックチェーン技術を活用した電力・環境価値の直接取引プラットフォーム事業を展開するベンチャー企業に出資。(出典:日本経済新聞 2018年3月29日)
最後に
ブロックチェーンのような新しい技術、ビジネスモデルだけでなく、起業が競争市場を勝ち抜き、存続していくために、新しいマーケット、商品、サービスなどをM&Aにより獲得する事例は多くなっております。
TOMAではM&Aが発生する各ライフステージ・事業の状態などを総合的に調査・分析し、最適な意思決定を支援します。また、M&A後の企業・事業運営も視野に入れ、事業・財務戦略立案から、取引実行、PMIに至る一連のプロセスをシームレスに支援します。