今回は、機能していない会社の戦略的撤退と組織再編税制の活用についてお話ししていきたいと思います。
機能していない会社を放置しておくことのデメリット
業績拡大時に事業部を法人化してグループ経営を始めた会社は世の中に多く存在します。しかし、事業環境には波があります。法人化から数年後、法人化した会社の事業環境が悪化し、業績が縮小したことにより、ほとんど機能していない会社がそのまま残っていることが多くあります。
機能していない会社が残っていると、過大なコストが生じることになります。機能していない会社についても、間接業務を行う必要があり、決算・申告作業も必要になります。作業が増加すれば人件費や税理士などに支払うコストが増加します。
また、所得の有無に関係なく都道府県や市町村に支払う必要がある「均等割(資本金や従業者数などにより税額は変動)」という税金もあります。
つまり、機能していない会社でも、存在しているだけでコストや税金が生じることになります。
戦略的撤退と組織再編税制
グループ会社においては、機能していない会社を有効活用できる可能性があります。それが組織再編税制の活用です。具体的には、
- 機能していない会社に多額の繰越欠損金(将来の所得と相殺可能な過去のマイナス所得の累積)がある。
- グループ会社内に儲かっている会社がある。
この2点を満たしているグループ会社は機能していない会社を有効活用できる可能性が高いです。理由としては、機能していない会社の繰越欠損金を儲かっている会社が引き継ぐことができる可能性があるためです。
一定の要件を満たした場合、儲かっている会社と機能していない会社を合併すると、機能していない会社の繰越欠損金を儲かっている会社が引き継ぐことができます。また、機能していない会社が儲かっている会社の100%子会社の場合は、一定の要件を満たすことで、機能していない会社を特別清算することにより、機能していない会社の繰越欠損金を儲かっている会社が引き継ぐことができます。
組織再編を行う際は、税務だけではなく、経営面、会計面、労務面、法務面などあらゆる角度から検証することが必要になります。上記の内容にご興味がある会社の経営者の方、経営幹部の方、お気軽にTOMAへご相談ください。