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有限会社の事業承継について

記事作成日2020/01/31 最終更新日2022/06/13

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かつて日本において認められていた会社形態のひとつである、有限会社。今まで有限会社であった会社が事業承継をする場合、どういった手続きを行えばよいのかご存じでしょうか?有限会社の事業承継について、メリットやデメリットまでを踏まえたうえでご紹介します。

特例有限会社とは

有限会社は2006年5月1日の会社法施行により廃止となり、現在では新規設立が認められません。これまでの有限会社は、すべて株式会社として取り扱われることになります。

しかし、廃止になっても「有限会社」という名前を使えなくなるわけではありません。突然変わってしまうと、会社は対応に追われ、世間も混乱してしまいます。そこで、法整備によって有限会社の性質を少し残した株式会社を、「特例有限会社」として存続可能にしました。

特例有限会社には、次の3つの特徴があります。

・役員の任期に制限がない
・株式の譲渡制限がかけられている
・設置できる機関の種類が少ない

イメージとしては、株式会社よりも小規模な会社形態ということなります。

なお、特例有限会社に移行する際には、手続きが不要です。また、株式会社への移行期間を設けていないため、株式会社に変更する意思がなければ、特例有限会社のままで経営を続けられます。

ただし商号では、「株式会社」という文字を入れてはいけません。商号には、「有限会社」という文字を含めることが義務付けられています。

有限会社の事業承継

では、特例有限会社のままであることに、どんなメリットがあるのでしょうか?ここでは事業承継の際のデメリットについても、一緒に検証していきます。

特例有限会社であることのメリット

・取締役の任期制限がない
・変更登記を行わなくても、解散したものとみなされない
・商号変更登記の必要がない(今までの社名がそのまま使える)
・決算公告義務がない
・会計監査の義務がない

株式会社では取締役の任期が最大10年であり、変更登記を12年間行っていないと「解散」とみなされてしまいます。特例有限会社のままでいれば、そういった制限がありません。また、定期的な役員変更登記も不要のため、長期的な経営を行えます。

事業承継の際のデメリット

魅力的なメリットが多い印象を受けますが、有限会社では株主の交代を予定していません。そのため、事業承継の際にはどうしてもデメリットのほうが目立ちます。

・会社の状況に合わせて、柔軟な機関の設計はできない
・事業承継会社としての吸収合併および吸収分割ができない
・特例有限会社のままでは、株式交換や株式移転が不可である

特例有限会社は、あくまでも経過措置である会社形態です。そのため組織再編に制限がかかりやすく、株式会社より信用されにくい風潮も少なからずあります。「吸収合併や吸収分割ができない」「株式交換や株式移転ができない」という制約があると、効果的な事業承継を行うのが難しくなります。

有限会社から株式会社への移行手続き

有限会社から株式会社に移行するためには、各種手続きの際に費用や手間がかかります。以下では、移行手続きの流れを簡単にご説明します。

1.株式会社としての定款案作成

「有限会社○○」から「株式会社○○」といったように、商号に「株式会社」という文字を使うために定款変更案を作成します。

2.株主総会の招集

取締役が、株主総会の招集を決定します。

3.定款承認のための株主総会特別決議

株主総会特別決議で「定款の承認」が必要です。

4.役員の選任

株式会社では、役員の任期を定める必要があります。ただし、特例有限会社の役員がそのまま株式会社の役員となる場合、原則として役員を再任しなくてよいです。

5.「特例有限会社の解散登記」と「株式会社の設立登記」

特例有限会社については、解散の登記を行います。商号変更後の株式会社については、設立の登記が必要です。

まとめ

有限会社のままでいることは、事業承継においてはデメリットが目立ちます。しかし、決算公告や役員登記が不要である点を考えると、スムーズに事業承継を行えるメリットもあります。有限会社の事業承継でお悩みの方は、まずは一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。