前回は、ホールディングカンパニーにおけるM&A について触れました。今回は、非公開の持株会社の株式評価のあり方についてお話したいと思います。
◆非公開会社の株式評価方法
非公開会社の株式評価方法は、図のように、実務においてはさまざまな評価方法があります。
株式を評価するということは、イコール企業価値を評価することを意味します。対象会社を評価するには、対象会社の会社規模や状況等、総合的に判断したうえで、企業価値を最も適正に評価するために、これらの方法を選択し、組み合わせて評価する必要があります。
現在の我が国の企業においては、対象会社の持つ資産、負債に含み損益を加味し、営業権(会社の持つブランド力やノウハウなど、いわゆるその会社の持つ無形の超過収益力のこと)をも含めた時価純資産価額が、最も適当な企業価値といえます。
◆持株会社の株式評価
さて、持株会社の評価は、持株会社の評価と子会社の評価を単純に合算して評価する方法と、持株会社と子会社を一つの会社として連結ベースで評価する方法があります。前者と後者の違いは、持株会社と子会社間の取引を考慮しているか否かです。前者は、持株会社と子会社間の取引によって発生する未実現利益が評価に含まれていることになります。
また、持株会社は子会社からの配当を主な収益力としているため、持株会社の営業権は評価に含めないべきであるといえます。
そう考えると、持株会社の評価は、後者の連結ベースに評価する方法が適正に企業価値を評価しているといえるでしょう。