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平成30年税制改正大綱による事業承継税制の見直し

記事作成日2018/01/19 最終更新日2018/09/18

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 財務省は、平成29年12月22日に平成30年度税制改正の大綱が閣議決定されたことを公表しました。税制改正大綱とは翌年度以降の税制改正について政府・与党が毎年12月に考えをまとめたものをいい、毎年12月に公表されます。
 昨年に引き続き今年も事業承継税制が大綱に挙がっていましたので、簡潔にまとめていきたいと思います。

大綱の内容

事業承継税制の拡充として以下の改正が挙げられています。

★納税猶予の対象となる会社の発行済株式又は出資の総数又は総額の三分の二の制限の撤廃
納税猶予できる金額が増えることになります。

★納税猶予分の相続税額が納税猶予の適用を受けることができる株式等の価額の80%相当額から100%相当額への引上げ
こちらも納税猶予できる金額が増えることになります。

★現行の事業承継税制における雇用確保要件を満たさなかった場合、利子税と納税猶予額の全額を直ちに納付することとされていますが、大綱では雇用確保要件を満たさなかった場合であっても、その満たさなかった理由を記載した書類を都道府県に提出することで引き続き納税猶予が可能(その理由が経営状況の悪化である場合又は正当なものと認められない場合には、認定支援機関から指導及び助言を受けて、当該書類にその記載をしなければならない)
打ち切りの可能性が減ることになります。

★経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、特例承継期間経過後に納税猶予の適用を受けていた非上場株式の譲渡・合併による消滅・解散をするとき等には、納税猶予額の一部を免除することができます。

※経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合とは、次のいずれかに該当する場合を言います。(解散をした場合にあっては、(5)を除きます。)

(1)直前の事業年度終了の日以前3年間のうち2年以上、納税猶予の適用を受けていた会社が赤字である場合

(2)直前の事業年度終了の日以前3年間のうち2年以上、納税猶予の適用を受けていた会社の売上高が、その年の前年の売上高と比較して減少している場合

(3)直前の事業年度終了の日における納税猶予の適用を受けていた会社の有利子負債の額がその日の属する事業年度の売上高の6月分に相当する額以上である場合

(4)納税猶予の適用を受けていた会社の事業が属する業種に係る上場会社の株価(直前の事業年度終了の日以前1年間の平均)が、その前年1年間の平均より下落している場合

(5)納税猶予の適用を受けていた後継者が納税猶予の適用を受けていた会社における経営を継続しない特段の理由がある場合

代表者以外の者から後継者への承継が可能になりました。また代表権を有する複数人(最大3名)への承継が適用対象になります。

上記の改正は平成30年1月1日から平成39年12月31日(10年間)の間に贈与、相続等により取得する財産に係る贈与税又は相続税についての適用になります。