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平成30年度税制改正大綱 ~ 事業承継税制の見直し ~

記事作成日2018/03/12 最終更新日2018/05/21

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昨年12月に、平成30年度税制改正大綱が閣議決定されました。その中でも事業承継税制(非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予制度)は、10年間の特例措置として各種要件の緩和を含む抜本的な拡充が行われ大きな注目を集めています。

◆納税猶予制度の現行制度と特例制度の比較

新たに創設される非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予制度の特例は、平成35年3月31日までに承継計画を都道府県に提出し認定を受け、平成39年12月31日までに贈与等を行う場合に、以下の特例を適用できるように拡充されています。

(1)納税猶予対象株式数の制限の撤廃と猶予割合を100%へ拡充
現行制度では、発行済株式総数の3分の2を上限として、対象株式の承継時の贈与税の納税猶予割合100%・相続税の納税猶予割合80%であったところを、特例制度では対象株式数を100%に引き上げ、承継時の贈与税・相続税の納税猶予割合は100%になります。

(2)雇用確保要件の弾力化
現行制度では、事業承継後5年間の平均で雇用の80%を維持することが納税猶予を継続する要件のひとつになっていますが、特例制度では5年間の雇用平均が80%を満たせなくとも猶予が継続されるようになります。ただし、都道府県に80%を満たせない理由の報告が必要になり、経営悪化が原因の場合には、認定支援機関による指導助言が必要になります。

(3)複数後継者による承継も対象化
現行制度では、一人の先代経営者から一人の後継者への承継のみに限られていましたが、特例制度では、親族外を含む複数の株主から代表権を有する同族関係者と合わせて議決権の過半数を有する後継者(最大3人、議決権割合10%以上を有し、かつ、議決権割合上位3位までの同族関係者に限る)への承継も対象に
なります。

(4)経営環境変化に応じた減免制度の創設
経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、事業承継から5年経過後に株式の譲渡、合併による会社の消滅、会社の解散が行われた時は、その時の株式を相続税評価額で再評価して贈与税・相続税を計算し、当初の納税猶予額を下回る場合には、その差額は免除されます。

新たに創設される非上場株式の納税猶予制度の特例を活用することにより、対象株式に係る贈与税・相続税の負担が猶予されるため、事業承継を円滑に行うことが可能となります。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。