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小規模宅地等の特例 対象者範囲見直し(2) ~平成30年度税制改正~

記事作成日2018/05/16 最終更新日2018/05/21

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 1月10日の投稿で、「小規模宅地等の特例」に関する平成30年度税制改正のうち、「特定居住用宅地等」にかかるいわゆる「家なき子要件」の見直しについてご紹介いたしましたが、今回は「貸付事業用宅地等」の要件の見直しについてご紹介したいと思います。

現行制度

 相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等を、次の区分に応じそれぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した場合、相続税の課税価格の計算上、その宅地(「貸付事業用宅地等」といいます。)の200㎡までの部分について、評価額の50%相当額を減額できます。

1. 被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等・・・
 (1)事業承継要件:その宅地等にかかる被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつその申告期限までその貸付事業を行っていること。
 (2)保有継続要件:その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること。 

2. 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等・・・
 (1)事業承継要件:相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行っていること。
 (2)保有継続要件:その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること。

問題点と改正による見直し

 この特例を利用して、相続税負担を軽減するため、被相続人の亡くなる直前に一時的に現金をタワーマンションなどの貸付用不動産に換え、その敷地について50%減額の適用を受け、すぐに売却・・・というケースが多くみられ、問題視されていました。
 そこで今回の改正では、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供されていた宅地等が除外されることになりました。ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模(※)で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものは含まれません。
   ※事業的規模・・・所得税の不動産所得に係る判定基準「5棟10室基準」と同程度とみられています。

適用時期

 この改正は平成30年4月1日以後の相続について適用されます。(以前ご紹介した「家なき子要件」についても同様です。)
 ただし、同日前から貸付事業の用に供されている宅地等については適用されません。(3年以内に相続が発生した場合であっても従来通りの取り扱いとなります。)