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事業承継ファンドを活用するメリット・デメリット

記事作成日2020/02/06 最終更新日2021/01/22

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事業承継を行う際、後継者がいない場合や、いても資金繰りが厳しくなかなか承継が進まない場合があります。そのような時に利用するとよいのが、事業承継ファンドです。

今回は、事業承継ファンドとはどういったものか、そのメリット・デメリット等を合わせてご紹介していきます。

■事業承継ファンドの概要

 そもそも事業承継ファンドとは一体どういうものなのでしょうか。以下で詳しくご紹介していきます。

◇事業承継ファンドとは

事業承継ファンドとは、投資家から集めた資金を法律に則った「ファンド(投資事業有限責任組合)」という形で一定期間企業に投資することで運用し、その利益を最終的に投資者へ還元する仕組みです。

具体的な運用方法としては、以下などの方法が挙げられます。

・投資された企業からファンドが株式を譲り受け、数年間で企業価値を高めて売却し、投資した資金を回収して投資家に還元する方法

・ファンドに会社自体を売却して企業価値を高めてもらい、上場するタイミングで後継者に会社を再度売却する方法

◇事業承継ファンドのもたらすもの

事業承継ファンドは、株式を譲り受けることで新たな経営者として、人材などの会社に必要な経営資源を補いつつ、会社の企業価値を高めてくれます。

株式を買い取って現金化し、株式の承継にまつわる問題の解決を支援するのはもちろん、売上利益を伸ばすことで会社が成長していくための支援をしてくれます。

なかでは社員の自立を促し、「ワンマン経営」から「組織経営」へと移行することを重視して支援してくれるファンドもあります。

また、事業承継の際に後継者がいない場合には、その会社の後継者に最適であろう人材を探し、派遣してくれます。後継者がいる場合でも、管理部門の人材や営業担当の取締役等、後継者をサポートする人材を派遣して支援してくれます。

■事業承継ファンドはどういう会社に向いているか

 事業承継ファンドは、「後継者がいない」「親族外の役員に継がせたいが資金がない」といった、事業承継の際に会社が抱える経営や資金といった問題を解決する際に有効です。

具体的には、以下のような際に事業承継ファンドの活用が有効です。

・会社を売却しようとしていることを業界内や取引先に知らせたくない場合

・会社のイメージが変わると取引に支障が出るため、今の社風・企業文化を保ちたい

・同業者へのM&A以外の方法で事業承継したい

・M&Aを考えているが、資本構成が複雑で、すぐに実現できない

・今の経営体制を維持したままで、売り上げを上げてもらいたい

■事業承継ファンドを活用するメリット・デメリット

 それでは、事業承継ファンドを利用する際のメリット・デメリットはどういったものでしょうか。以下でご紹介していきます。

 ◇メリット

・上場しなくても自社株が換金できるため、後継者に利潤を残すことができる

・社内の人間が経営を承継するため、スムーズな事業承継ができる

・銀行借入の債務保証が不要になる分、経営者にとっての精神的負担が減る

・会社の売却に向けて動いていることが業界内に漏れない

・譲渡のスキームについて、事業会社よりも柔軟に考えられる

◇デメリット

・ファンドは対象会社のキャッシュフローを担保に借入を行うため、業務を続けていくにあたり大きな影響がない範囲での借入ではあるが、キャッシュフローからの返済が前提となる

・ファンドの方針や自社との相性をきちんと見極めて利用しないと、会社がうまく成長しない恐れがある

・会社がうまく成長できなかった場合、さらに他者に売却する可能性もある

 まとめ

 事業承継ファンドはうまく利用すれば会社も成長するうえ、投資家にも利益を還元することができる優れた方法です。しかし、その投資期間は数年にわたるため、どのファンドと協力するかという見極めが非常に重要です。

これまでの投資実績・出資者・相性等大事なポイントをおさえつつ、専門家に相談しながら始めるとよいでしょう。