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事業承継を従業員に行うメリットとデメリットとは

記事作成日2017/09/19 最終更新日2017/09/19

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22 事業承継を従業員に行うメリットとデメリットとは事業承継とは、ごく簡単にまとめるならば、「現在自分たちが行っている事業を、自分の跡を継いでくれる人に引き継がせること」を指す言葉であると言えます。これは多くの場合、自分の血縁者(特に息子や娘など)を対象として行われることでしょう。

しかし、事業承継のやり方はこれだけではありません。従業員に引き継がせたり、M&A(企業の合併、あるいは買収などを指す言葉)を選択することもできます。今回はそのなかでも、「従業員に対して事業承継をする方法」について着目してご紹介します。

従業員への事業承継の2つの方法とは

従業員に事業承継をする場合、その方法は大きく分けて2つです。

まず1つ目は、「MBO(Management Buy-Out)」と呼ばれるもの。
もう1つは、「EBO(Employee Buy-Out)」と呼ばれるものです。

どちらの場合でも、「事業承継をする者が、オーナーの持っている株式などを買って、それによって経営権を持つ」という原則には変わりありません。しかしMBOとEBOでは、「だれが引き継ぐか」に違いがあります。MBOは「現在、会社の中心を担っている経営陣」が引き継ぐのですがEBOの場合は従業員が引き継ぐといった部分で異なります。

事業承継を従業員に行うメリット

親族に事業承継を行う場合と、従業員に事業承継を行う場合ではどのような違いがあるのでしょうか。

まず大きいのが、「その事業において求められる知識や技術を、引き継ぐ側が持っている」ということが挙げられます。親族に引き継ぐ場合、まったく畑違いのところからの転職を余儀なくされることもあります。極端な話、今まで自動車を作っていた人が音楽会社を引き継ぐことになる可能性もあります。

しかし従業員に事業承継をする場合、候補として挙がってくる相手は、その業界に精通しており、ノウハウを持っています。そのため、混乱なく引き継ぐことができるのです。これは、単純に「技術」だけのことを言うのではなく、その会社が持つ社風であるとか理念であるとかにも同じことが言えます。

もう1つのメリットは、「親族にアテがない場合でも行える」ということです。「今の仕事が楽しいので、親の会社は継がない」ということは往々にしてあることです。このようなときでも従業員に引き継げば、会社は存続します。

事業承継を従業員に行うデメリット

一方、従業員への事業承継はデメリットもあります。

「社風や理念、技術を引き継ぐこと」は、基本的には望ましいことです。
しかし改革が望まれる会社の場合、旧態依然の運営方法がそのまま引き継がれてしまうこともあります。もっとも大きな問題は、「資金」でしょう。MBOやEBOは、「引き継ぐ人間が会社の株を買うこと」ができて初めて成り立ちます。しかし従業員に、これができるだけの資金があるかどうかが問題になります。加えて、現経営者が会社の借入金の連帯保証人となっている場合、その連帯保証人の立場も引き継がなければなりません。

経営権のみを従業員に承継することは可能か

このようなリスクを避けるために、「経営権のみを従業員に引き渡す」という方法があります。

ただ、これは一見良い方法に見えるものの、また別のリスクをはらむ方法であることも確かです。なぜならこの場合、「経営権」と「株式」を持つ者が違うからです。

「株式を持っているのに、なぜこちら側の指示に従わないのか」
「より良い経営をしていこうとしているのに、なぜあなた方はそれに反対するのか」
などのように対立が起こってしまうことも多く、なかなか難しい方法だと言えます。

従業員への事業承継は、メリット・デメリットを持っています。「だれに」「どのようなかたちで」「どのタイミングで」事業承継をするのかをよく考えましょう。