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事業承継における自社株対策の目的と必要性

記事作成日2017/09/19 最終更新日2021/01/22

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事業承継したあとに安定した経営していくためには、後継者が一定数以上の自社株を取得する必要があります。少なくとも3分の2以上、中小企業であれば100%の株式を取得するのが望ましいと言われています。

なお、どのような方法で株式を譲渡するかによって税金の額に大きな違いが生じます。事業承継において自社株対策をすることで、どのように税金の負担を軽くすることができるのでしょうか。また、自社株の評価額を下げるにはどのような方法があるのでしょうか。

自社株対策がなぜ必要なのか、もし自社株対策をしないとどうなるのか、自社株対策の方法を解説します。

事業承継における自社株対策とは

株式譲渡は「売買」、「贈与」、「相続」のいずれかの方法で行います。

「売買」の場合は、譲渡する側に譲渡所得税が課税されます。売却価格から取得費と売却手数料を差し引き、税率を掛けることで税額を算出できます。税率は所得税・復興税・住民税で20.315%です。なお、譲渡される側は株式の購入資金を準備しなければなりません。

「贈与」の場合は、贈与を受けた側に贈与税が課税されます。
贈与価額から基礎控除額110万円を差し引き、基礎控除後の価格ごとに定められた税率を乗じて、贈与税額が決まります。なお、贈与される側は贈与税の納税資金を準備しなければなりません。

「相続」の場合は、相続する側に相続税がかかります。遺産額から基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引き、評価額ごとに定められた税率を乗じて、相続税額が決まります。
どの方法で譲渡するかによって税額に大きな違いが生じます。また、どの方法でも株式の価額を元に計算するため、株価が高いと税額も高額になってしまうため自社株対策が必要になるわけです。

自社株対策をしないとどうなるか

自社株の評価額が高額になると、売買で取得する場合、後継者が自社株を購入する資金を準備できなくなってしまう可能性があります。また、どの方法で譲渡するにしても自社株の評価額が高額だと多くの税金がかかってしまいます。業績のよい会社であればなおのこと株価は高くなるため、税額も高額になります。

しかし、事業承継においては、安定した経営のために後継者が自社株を取得しなければなりません。株式の保有割合によって株主には権限が認められるので、自社株が複数の所有者に分散してしまうと特別決議を成立させることができなくなってしまうなど、重要な決定を下すことができず経営にも大きな影響が出てしまいます。

自社株は多くの税金がかかるにも関わらず他の人に売却することができないため、換金性の乏しい財産であると言えるでしょう。そのため、自社株対策をして少しでも評価額を下げることで税負担を軽くし、経営に悪影響が出ないようにする必要があります。

自社株の評価方法と評価額を下げる方法

取引所に上場していれば株式の価格ははっきりしていますが、上場していない場合は会社の規模や株主によって評価方法が違います。同族株主の場合は、「類似業種比準価額方式」「純資産価額方式」もしくはその両方を使って評価します。

類似業種比準価額方式とは?

「類似業種比準価額方式」とは、上場している同業者の株価、配当金、利益、純資産を元に計算する方法です。配当金、利益、純資産を少なくすることで自社株の評価額を下げることができます。具体的には、役員退職金の支給、高収益部門を分離すること、特別配当や記念配当を活用することなどが挙げられます。

純資産価額方式とは?

「純資産価額方式」は会社を解散させた場合に株主が受け取ることのできる金額を計算し、それを元に株価を評価する方法です。この場合、純資産が少なくなるほど自社株の評価額は低くなります。具体的には時価と相続税評価額の乖離が大きい不動産を購入したり、役員退職金を支給する方法などがあります。

役員退職金は、どちらの評価方式においても自社株の評価額を下げることにつながります。自社株の評価を下げる方法はいくつかありますが、素人では判断することが難しいため、税理士などの専門家に相談しながら行っていく必要があります。

事業承継を成功させる秘訣

事業承継には自社株対策が欠かせません。自社株対策をしていないと、非常に高額な税金を支払わなければならなくなり、経営にも影響が出てしまいます。自社株の評価方法や、評価額を引き下げる方法については、専門家に相談しながら対策を進めていく必要があります。スムーズな事業継承を行うためには、なるべく早めに取り組むことが大切です。

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