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事業承継における後継者の課題とは

記事作成日2017/09/14 最終更新日2017/09/14

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15.事業承継における後継者の課題とは中小企業にとって後継者不足は深刻な問題となっています。後継者がいない企業が7割にものぼっているという統計もあります。また、2017年には団塊世代が70歳を迎えることもあり、後継者問題について真剣に考えなければならない時期だといえるでしょう。(帝国データバンク「全国オーナー企業分析」

事業継承における後継者問題としてどのようなものがあるのでしょうか。
また、誰が後継者になるかによってどんなメリット・デメリットがあるのかについてご紹介します。

事業承継の後継者問題にはどのようなものがあるか

会社の業績は良好でも、後継者がいない場合は事業を存続するのが難しくなります。かつては子どもが親の仕事を継ぐことが一般的でしたが、近年働き方も多様化しており子どもが仕事を継がないというケースも多くなっています。また、大手企業に対抗して経営していくには高い経営能力が求められますが、子どもに能力的な問題があり、事業を継がせることができないというケースもあります。

経営能力がないのに無理やり事業を継がせてしまうと、経営が成り立たなくなる可能性があり社員も苦しい思いをしなければならなくなります。
また、そもそも子どもがいないなど、子どもへの事業承継という選択肢すらない場合もあります。

事業承継は、単に後継者を決めるだけではなく経営のノウハウや、従業員や取引先との関係も引き継がなければならないため、長期にわたって計画的に進めていく必要があります。経営者自身が元気であっても、先送りせず、早めに取り組まなければ手遅れになってしまう問題でもあります。

事業承継の後継者とそれぞれのメリット・デメリット

後継者として、まず子どもなど親族に引き継ぐことを検討することができます。あるいは、役員や社員など社内から後継者候補を見出すこともできます。それぞれの場合に、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

親族内承継のメリット・デメリット

まず親族への承継のメリットとして、心情的に社内外から受け入れられやすいという点があります。また、若いころから心構えや経営理念など、後継者にとって必要な教育を施すことができます。さらに、中小企業では安定した経営のために経営権と所有権が一致していることが望ましいですが、親族であれば株式や事業用資産を計画的に移転することができ、所有と経営が分離しにくくなります。

一方デメリットとして、親族の中に事業を引き継ぐ意欲や能力のある人を見つけられないことがあります。また、複数の相続人がいる場合は、株式が分散してしまい、決定権に影響が出てしまう可能性もあります。

親族外承継のメリット・デメリット

役員や社員に継承する場合のメリットとして、すでに事業内容に精通しており、後継者育成のための時間を短縮することができることが挙げられます。また、これまでの経営方針もそのまま引き継ぐことが多いので、経営の一貫性を保ちやすいというメリットもあります。

一方、デメリットとして後継者が株式を取得するための資金を持ち合わせていない場合が多いことや、負債の引き継ぎが難しいことが挙げられます。

事業承継における後継者問題の解決策

親族や役員・社員の中からも後継者を見つけることができないこともあり得ます。その場合は、第三者への事業承継(M&A)も検討することができます。

M&Aとは、Mergers & Acquisitionsの略で、直訳すると合併と買収という意味です。簡単に言うとM&Aは会社を売りに出すことです。
従業員の雇用も守ることができ、取引先も継続することができるというメリットがあります。しかし、必ずしも相手が見つかるわけではありません。時間だけを浪費してしまったり、内部情報が漏れてしまうリスクといったデメリットもあります。

また、なかなか相手が見つからず会社を安売りしなければならない可能性もあります。M&Aを検討する場合は、仲介業者に依頼することもできますが、その場合は手数料の支払いも発生します。

それでも後継者を見つけることができなければ、廃業しなければならないかもしれません。廃業によって社員を解雇する必要があったり、これまで付き合ってきた取引先との契約も解除したりしなければならず大きな迷惑をかけることにもなります。ですから、社員や取引先のためにも安易に廃業を選択せず、まずは事業承継の方法を探るようにしたいものです。

後継者問題は重要な問題であり、早めに対策を考えておかなければなりません。後継者を選択したなら、経営者としてのノウハウや心構えの教育をする必要があります。また、従業員や取引先、金融機関にも周知し良い関係を築くようにすることも大切です。そして並行して株式の譲渡など所有権の移転も行っていかなければなりません。

スムーズに事業承継できるように専門家のアドバイスを聞きながら計画的に準備を進めていきましょう。