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事業承継で登記が必要となるケースとは

記事作成日2020/01/29 最終更新日2021/01/22

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法務局の商業登記簿に会社の情報を記載する、「登記」。この手続きをしなければ、会社として認められません。また事業承継時においても、登記が必要となります。それでは、一体どのようなタイミングで登記を行うのでしょうか?こちらでは事業承継で登記が必要となるケースをご紹介します。

■事業承継で登記が必要となるケースとは

 事業承継で登記が必要となるのは、「商業登記」と「不動産登記」です。それぞれの登記について比較してみましょう。

◇商業登記が必要となるケースとその種類

・設立登記(会社を設立するとき)

・役員変更登記(取締役や監査役などの役員に変更があるとき)

・本店移転登記(本店を移転するとき)

・資本金変更登記(増資や減資を行うとき)

・合併登記(会社を合併するとき)

・分割登記(会社を分割するとき)

・解散登記(会社を解散するとき)

ほかにも、会社の目的や商号、組織を変更するときに商業登記を行います。

◇M&Aでも商業登記が必要

M&Aとは、Mergers and Acquisitionsの略で、「合併と買収」という意味であり、技術や販売、生産などの業務提携も含まれます。

M&Aの種類には以下のようなものがあります。

【合併】

・新設合併

・吸収合併

【買収】

・事業譲渡

・株式買収(株式交換・株式移転・第三者割当増資など)

【会社分割】

・新設分割

・吸収分割

【業務提携】

・技術提携

・生産提携

・販売提携

このうち登記申請が必要なのは、合併(新設、吸収)、買収(株式買収)、会社分割(新設、吸収)となります。

◇不動産登記が必要となるケースとその種類

・所有権保存登記(建物を新築するとき)

・所有権移転登記(土地や建物の売買や贈与、交換が行われるとき)

・所有権移転登記、または相続登記(土地や建物の所有者に相続があるとき)

・登記名義人表示変更登記(不動産所有者の氏名や住所に変更があるとき)

・抵当権設定登記、または根抵当権設定登記(金融機関から融資を受け、不動産を担保に提供するとき)

・抵当権抹消登記、または根抵当権抹消登記(各種担保権が完済などにより消滅するとき)

■登記手続きの流れ

登記手続きの方法は、以下の3通りから選ぶことができます。

・法務局の窓口

・郵送

・オンライン

また、商業登記と不動産登記で手続きの流れが変わります。

◇商業登記

まずは登記申請書を提出しましょう。

ここで不備があると、登記官から訂正の指示が入ります。

郵送やオンラインで手続きを行った際には、補正書を作成して送ります。

あまりに訂正箇所が多いと、申請の取下げを求められるため注意してください。

不備がなくなれば、登記完了となります。

ちなみに「設立登記」だけでも、申請書以外に以下の書類提出が求められることがあります。

・登録免許税貼用台紙

・定款(認証済みのもの)

・資本金の払込証明書

・取締役の就任承諾書書

・取締役の印鑑証明書

・印鑑届出書

など

◇不動産登記

不動産登記は、不動産所在地の登記所で行われるのがポイントです。

申請書を提出すると、登記官が申請書に「受付年月日」「受付番号」を記載します。

その後、登記官は登記の申請があった土地、もしくは建物の登記記録事項を確認していきます。

現地の状況について、質問や調査が行われることもあるでしょう。

また商業登記と同様、申請に不備があると補正を行わなければなりません。

無事に処理が終われば、「識別番号登記記録」の手続きが行われて、登記が完了します。

登記が完了したら、3ヶ月以内に権利証(登記識別情報通知書)の発行を済ませます。

注意しなければいけないのが、権利証は紛失や盗難にあっても再発行されない点です。

絶対になくさずに、きちんと保管しましょう。

■まとめ

登記申請では申請用紙に少しでも不備があるだけで、余計に時間を割かなければなりません。特に、不動産登記では登記の種類によって、必要書類も書類の書き方も複雑になってきます。

事業承継の際には、登記以外にもさまざまな手続きがあります。スムーズに引き継ぎを済ませるために、一度専門家に相談してみることも大切です。