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事業承継での減資の効果とデメリット・手続き方法を徹底解説

記事作成日2017/09/19 最終更新日2023/05/26

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事業承継とは、現経営者から後継者に会社の資産、経営ノウハウ、取引先との人脈といったあらゆる会社の資産を引き継ぐことを言います。その過程の中で、円滑に事業承継を進めるにあたって、減資を行うことがあります。名前のとおり、資本を減らすということになりますが、どのような効果があるのでしょうか。

この記事では、有償減資によるメリット・デメリット、注意点などのポイントと、手続き方法を説明します。

減資の効果

事業承継における減資の効果の一つとして「事業承継税制」の活用が挙げられます。事業承継税制は、事業承継時に贈与税や相続税の支払いが免除される制度です。

ただ、事業承継税制の活用にはいくつかの要件を満たさなければならず、その中で「中小企業」であるという要件があり、その基準となるのが「資本金」と「社員数」で以下のうち、資本金または社員数のどちらか一方を満たしている必要があります。。減資により、適用要件を満たすことができれば、事業承継税制を利用が可能になります。

事業承継での減資の効果とデメリット・手続き方法を徹底解説

減資の種類

35 事業承継で減資を行う効果について減資とは、登記されている資本金を減少させることです。減少した資本金は、帳簿上で資本準備金やその他資本剰余金という項目に振り替えることになります。

減資の種類は、無償減資(むしょうげんし)と有償減資(ゆうしょうげんし)があります。この2つの違いは、減らした資本金を株主に配当として還元するか、またはしないのかという
点にあります。

無償減資とは?

無償減資は、減らした資本金を、株主に還元しないパターンに当てはまります。赤字企業が損失を補填するために用いることで、会社の再生を図る場合に用いられる手法です。

有償減資とは?

有償減資については、株主に還元するパターンに当てはまります。しかし、上場企業と違ってオーナー企業や同族会社の場合は、還元する株主はオーナー以外にいません。そこで、自社株を買い取ることで消却を行います。

有償減資のメリット・デメリット

有償減資によって、自社株を購入ができる点にメリットがあります。自社株の保有者が分散されていると、経営権の分散になるため事業を行っていく際には不都合が起こりやすいと言えます。事業承継時にも自社株が現経営者に集中していれば、後継者に対して円滑に承継することができると言えるでしょう。

また自社株の評価額を下げておくという対策もとりやすくなります。自社株の評価額が高いと、事業承継において贈与税や相続税も連動して高くなってしまいます。退職金の拠出や、不動産の購入、生命保険の加入をしておくなど、事前に自社株対策をとりやすくなるというメリットもあると言えるでしょう。これらの対策によって納税資金の準備をすることもできます。

しかしながら、一般的に資本金が多い方が、会社としての信用度も高く見られる傾向にあります。資本金を減少させるという行為自体が取引先や金融機関に対してマイナスのイメージを与えてしまいかねない点はデメリットになると言えるでしょう。

減資を行うときの注意点

減資とは登記上の資本が減っただけであり、株式の総数とは連動していません。従って、株式の総数も減らしたい場合は、株主総会で減資に加えて、1.自己株式の取得と償却と2.株式の併合のいずれかの方法を別々に決議しなければならない点に注意が必要です。

また、減資の手続きには債権者保護手続きが必要となります。借入金などの債務がある場合は、この手続きの中で債権者から弁済や担保を提供するように要請される可能性がある点にも注意が必要です。

減資の手続き方法とは

減資を行うためには、株主総会を開く必要があります。
下記の3つの事項を特別決議において決定します。

1.減少する資本金の額
2.減少する資本金の額の全部または一部を準備金とする場合はその旨とその額
3.資本金の額の減少が効力を生じる日

その後、官報によって債権者に対して減資を決議したことを知らせる「債権者保護の手続き」をとる必要があります。減資の内容の他にも、決算内容や異議がある場合は一定期間申し立てできることも合わせて記載しなければなりません。

これらを経て、減資の効力が発生したら、法務局へ資本金変更の登記をして、税務署等に資本金の異動届を提出します。減資をする場合、メリットとデメリットがあるため、事業承継の中の1つの手法として考えると良いでしょう。

事業承継を成功させる秘訣

事業承継に正解はありません。企業の置かれている状況によって方法も変わると言えます。また、減資の手続きには、税務・会計・法律といったあらゆる専門知識が必要になります。パートナーとなる専門家を見つけることも事業承継を成功させる秘訣と言えるでしょう。

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監修 TOMAコンサルタンツグループ コーポレートアドバイザリー部

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