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メガバンクが事業承継にスポットを当てる背景

記事作成日2020/01/29 最終更新日2021/01/22

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続く不況やAIの発達により、先行きが不安視されているメガバンク。そんなメガバンクが、最近中小企業の事業承継に注目しているようです。 今回は、メガバンクがなぜ事業承継に注目しているのか、実際に行っている支援は何かなどをお伝えしていきます。

■メガバンクが事業承継にスポットを当てる背景

 近年、銀行の不況はあらゆる場所でささやかれています。実際に、みずほ銀行は2026年度までにグループの従業員数を1万9000人削減すると発表しています。三菱東京UFJ銀行も9500人分の業務を削減、三井住友銀行も2020年度までに4000人分の業務を削減すると発表しており、その不況はいよいよ現実となって表れてきました。

また、AIの発達により、銀行員の仕事がAIに奪われるという話もよく聞かれています。

そんな中、メガバンクは中小企業の事業承継に注目するようになりました。これには、以下のような背景があります。

◇会社経営者の平均年齢の高まり

東京商工リサーチによると、2016年の全国社長の平均年齢は、61.19歳です。事業承継は60歳代後半に進められることが多く、事業承継サービスへのニーズは年々高まっているといえます。

◇銀行・信託・証券等様々な方向からのアプローチが可能

例えばみずほ銀行では、グループ傘下に信託銀行や証券があるため、そういった視点からも事業承継をサポートすることが可能です。各会社の資産状況や方針により対策が1件1件違う事業承継にとって、メガバンクのように幅広いアプローチ方法を持っている組織は、よりよい解決策を提示しやすいのです。

◇「地域密着型の有力者」との連携

これまで、メガバンクでは大きな取引を優先するために、中小企業との取引の優先度はそれほど高くありませんでした。しかし、会社自体の規模が大きくなくとも、経営者個人が莫大な資産を持っており、他にマンション経営や資産運用を行っているなど、「地域密着型の有力者」である場合があります。

例えば、その中小企業への融資額は小さくても、その取引で経営者に信頼されれば、他の金融商品の個人的な購入などにつながるため、近年、「地域密着型の有力者」の発掘が注目されるようになってきています。彼らとの連携は結果として、メガバンクにとって大きな業績につながる可能性が高いのです。

 ◇AIの発達によるきめ細かなサービスの実現

AIの発達は銀行員の業務を奪うといわれていますが、その分これまで手が回らなかった中小企業の事業承継にも、きめ細かな対応ができるようになるといわれています。また、フィンテックによる与信の判断など、正確で迅速なサービスの実現が期待されています。

■メガバンクで行っている事業承継支援の例

 では、メガバンクは事業承継に関してどのような支援を行っているのでしょうか。以下で具体的にご紹介していきます。

◇事業承継ファンド

事業承継に際し投資を必要としている中小企業に向けたサービスです。事業承継にかかるコスト問題を解決するため、資金の供給を行います。

◇事業承継・財務コンサルティング

税務・法律・会計など様々な問題が複雑に絡み合う事業承継に際し、そのコンサルティングを行うサービスです。各会社の経営状況や理念の把握・方針の決定はもちろん、銀行が得意な財務を中心としたコンサルティングを行います。

◇事業戦略・経営相談

M&A・IPOなど、事業承継の方針がある程度決まっている会社に対する相談サービスです。対象会社の選定や証券会社の紹介等、それぞれの企業に合ったサポートを行います。

 まとめ

メガバンクは近年、不況やAIの発達により、転換期に差しかかっています。そんなメガバンクの間では、中小企業の事業承継について注目が高まっています。金融の専門家であるメガバンクが様々な支援事業を行ってくれるというのは、経営者にとっては心強い味方となるでしょう。事業承継を視野に入れている経営者にとっては、こういった情報をリサーチしておくことも大切です。