ホールディングカンパニー(HD)化のメリットとして、経営管理と事業の分離と経営責任の明確化が挙げられることは以前もこのコラムでご紹介しました。
これらの目的を達成するために事業ごとに分社し、権限を事業会社の経営者に権限を委ねて組織運営を図っていくわけです。
職能別組織や事業部制組織、カンパニー制組織も、業績把握や経営責任の明確化を目的としていますが、これらの組織形態において行われる業績管理においては、社内間での製品等の引渡しには仕切価格を設定し、管理経費などの間接経費など各部門で発生額を直接把握できないコストは配賦基準を設定し各部門に配賦するという仮定計算により算出されます。
ホールディングカンパニー化により、各子会社は独立した法人となり、親会社とも独立した法人間の取引を行い、取引の事実に基づき会計処理を行うこととなるため、前述のような仮定計算はなくなり、客観的妥当性をもった業績管理ができるようになります。
ホールディングカンパニーには、「事業持株会社」と「純粋持株会社」の2 種類があります。
「事業持株会社」とは傘下の企業の経営を行いながら、独自の事業を行っている会社であり、「純粋持株会社」とは、独自の事業は持たず、グループ内の企業の株式を保有し、グループ内の経営方針の決定、資金調達など経営管理を行う会社です。
日本では、事業持株会社が多く見られますが、業績管理という観点では、事業持株会社は、主力事業を自ら行っており、親会社の事業と各事業子会社の事業とを並列に管理することが難しく、親会社の事業と子会社の事業とで個別に業績管理が行われることが多いようです。
一方、純粋持株会社形態は、主力事業も子会社化され、他の子会社と並列的に並べることができるため、全事業を客観的に公平に業績評価を行うことができると言われています。
次回はHD における経営の実例をご紹介します。